第11話 クリスマスうっそー。
そんなこんなで、クリスマスと言っても
長屋では普通の晩御飯。
みなさーーーん!ちょっと来て下さ〜い。
男の人の声。叫んでる。
みんな、なんだろう?って晩御飯の茶碗や箸を持ったまま家から出できた。
ロクちゃんのお父さんだ。
リヤカーを引いている。
みなさーん!ケーキですよー!
ほらと言うと、リヤカーに被せてあった布をめくった。
ケーキの箱が沢山‼️
子供達は一斉にかぶりついて見た。
どうしたのさ、ロクちゃんとうちゃん?
実は荷崩れしたケーキを工場に売りに来たんですよ。
それなら、みなさんにと思いまして。
うわーうわーい!サンタさんだわ。
はい、はい、みんな並んでね。ちゃんとあるからね。
ロクちゃんのお父さんは、子供達にひとつ、ひとつ手渡した。
悪いねぇ、こんな高級品をさ。
いや、たぶん、崩れてると思うんですよ。
そういうとロクちゃんのお父さんは
少しはにかんだ。
ありがたいよねぇ、ケーキなんて滅多に口にできやしないわ。
本当だよ、アーメンさんもありがたいもんだ。
紅子も一箱、落とさないようにしずしずと抱えて歩いた。
おかあちゃん、おとうちゃん!
すごいなぁ。
おう、よかったやないか!
ありがとう、ロクちゃんとうちゃん。
ホンマや、奇跡やなぁ。
早よ、食べよーや。なっなっ、ええやろ?
紅子は待ちきれんと家に入った。
お父さん!
ロクか?ちゃんとロクのもあるよ。
ほら。
お父さん、ありがとう。
今日ね、みんなで、サンタさんに
お願いしたのね。
そうだったのか?
そうか、サンタさんがみんなの願いを叶えてあげてくれと言ってたんだなぁ。
ふふふ。良かったわねぇ。
お父さん、ありがとう。
ああ、これで、小遣いは無しになっちゃたなぁ。
大丈夫よ。ちゃんとお小遣いはお渡ししますよ。
あちらでもこちらでも、
きよしこの夜の歌が聴こえてきた。
幸せな幸せなクリスマスだった。
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