第10話 冬休みはワクワク
年末に入っていくと、子供らも大人も
落ち着かない。
昔はつけで酒屋さんなんぞで買ってたりしたからそれの支払いに頭が痛い家もあった。
あー、たまんないねぇ。うちのバカ亭主、立ち飲み屋でさ、つけで飲んでたんだよー。
どこだって同じさ。うちは米屋への支払いがねぇ。あちゃー、炭もだった!
こうした時におかみさん達はヘソクリを出す。
これは、内緒でチビチビと作ったもの。
子供達と言えば、ツンツルテンのズボンや
お下がりのお下がりの服を着て、
秘密基地で集まっていた。
なあなあ、組の金持ち達がさ、クリスマスってやるんだってさ。
アーメンソーメンヒヤソーメン教だろ?
アホーー!クリスマスにはサンタがくるねん。お土産持ってなー。
ええー⁉️さーんーたーってだれ?
知らんけど白髭のじいさんらしいで。
なんのお土産くれるのかしら?
紅子はもらった事あんの?
無い!ええ子にしとらんとこんねんて。
なら、紅子はむりだ!
俺んちは、、、。
みんな無理よぅ。
だってさ夏にカシワの卵とったじゃない。
結局は、卵が腐ってさ、プリンも食べられなかったしー。
紅子のせいだわ。
たわけの紅子‼️
やめてよぅー、紅子ちゃん、かわいそうだよ。そんな悪口言うと余計にサンタさんは来ないよぅ。
ロクちゃんは半泣きで止めてくれる。
全くだ。ロクちゃん、いい事いうねぇ。
とは言え、長屋ではクリスマスなんて大人も知らないし、気にもしてない。
餅つきをする算段をしているくらいだ。
あー、サンタさまーー!ケーキくださあい!
花子は思い切り叫んだ。
そうだーー!俺もケーキ食いたいですー!
うちもーー!
僕もー!
この頃のケーキはバタークリームだった。
ピンクの花なんかが乗っかってて、
銀玉の小さなのが降りまくってあった。
全然、フワフワじゃないし、とろける生クリームなんて無かったのだ。
それでもケーキは贅沢品。
簡単には口に出来なかった。
懐かしい味。
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