第5話 裕次郎あらわる。

まあ、そんなこんなで、大人らと子供らはそれぞれの思惑で長屋はわちゃわちゃしてた。


そんなある日。


ちょいとー、みんなー!一、ニ、三、四の母ちゃんである。

なんだい?

どうかしたの?


見てよ、コレさ。知り合いがさ、引っ越しするからって言うから貰ってきたさ。


あゝー‼️に、わ、と、り、だー。

しかも雄鶏じゃないかね。

カシワの旦那だねぇ。

でかしたよ、あんたー。


一、ニ、三、四の母ちゃんは自慢気だった。

だろうさ、だろうさ。

しかもさ、見てごらんよ。雄鶏の顔つき。


顔つき?

ありぁ、こりぁ、男前だよぅ。

ホントだ!

名前はいいのにしてやんないといけないねぇ。


団十郎はどうだい?

歌舞伎役者って顔じゃないよ。


普段は控えめなロクちゃんのお母さんが

あのう、、。

裕次郎はどうでしょうか?


ゆう、じ、ろう⁉️

確かに裕次郎だよ。

甘い感じもただ酔わせてるよ。


じゃあ、名前は裕次郎ってことにするさね。


みんな、うん、うんとうなづいた。


問題はカシワが裕次郎に惚れるかどうかである。

長屋の母ちゃん連中が見守る中、カシワの檻に裕次郎は入れられる。

カシワはビックリ‼️

こけーっ、こけ、こけ、こけぇーー。

バサバサと飛び回り逃げる💨。

かたや、裕次郎は微動もせずにしゃんと立ち、斜めに首なんぞを傾けてポージング。


やっぱりさ、男前ってのは、ニワトリでも違うね。

本当だよ。スカシテルねぇ。

まあ、まあ、あとは若いニワトリさんに

お任せしようよ。

そうだね、こう、見られちゃやれることもできなさ無いさ。

あーはははー。


ご婦人方はそそくさとその場を立ち去った。


カシワと裕次郎の恋はいかに。

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