第40話
ピピ‥‥‥カチッ。
目覚ましが鳴るのと同時に止め、起き上がった。
念の為スマホで日付を確認する。よし、今はちゃんと中三だな、それにあの日まではまだ日数がある。
俺は着替えを済ますとリビングに駆け降りた。
「おはよう、今日は早いわね」
「おはよう、ちょっと早めに家出るよ」
「そう、わかった」
既に準備されてあった朝食を黙々と食べると自宅を足早に出た。
当たり前だが、まだゆうやは出てきていない。しかし、俺はそんな事お構いなしにミキの家に向かった。
少し時間が早過ぎたか、ミキもまだ出てこない。アパートの駐車場で待っているとしばらくしてミキが出てきた。
「あれ?りょうやどうしたの?」
「あぁ、おはよ。今日早く学校行こうと思ってさ、一緒に行こうぜ」
「わざわざここまで来たの?ゆうやは?」
「あいつは放っておげばいいだろ、二人で行こうぜ」
「なんだよ、キミ悪いな」
ミキは不思議そうな顔で俺を見つめた。
「別に特別な事は何もないよ、気分だよ気分!」
「ま、いっか」
こうして俺とミキは二人で学校に向かった。途中ゆうやと会ったが俺が勝手にミキを迎えに行って二人で登校していたのが気に入らなかったのか黙って一人で行ってしまった。ミキは心配していたが、俺にはそんな事どうでもよかった。今が大事な時間なのだから。
「ミキさ、最近どうよ」
徐に俺は聞いた。
「どうって?」
「いやぁ、最近楽しんでるかなって」
「またキミ悪い事言って、りょうやどうしたんだよ」
「俺さ、今思えば中学に入ってミキとあんまりプライベートで遊んだりしてこなかったじゃん?だから寂しいんだよ」
嘘ではない。でも実際にはこの頃そんな事これっぽっちも思っていなかった。そのせいでミキの異変にも気付かなかったのだろうし今はその反省を生かす他ない。
「寂しいって本気で思ってんの?」
「思ってるよ」
「キッショ!」
ミキは笑っていた。まるで悩みなど一つもないかのように。そうだ、ミキはそうやって隠してきたんだ今までも。だから俺は気付かなかった。
「今日さ、二人で学校サボらね?」
俺は思い切って提案してみた。
「それはやばいって。親にバレたら殺されるわ」
「一日ぐらい大丈夫だろ、俺がミキの親のフリして学校に電話するからさ、ミキは俺の親のフリして電話してくれよ」
「ぜってーバレるって」
「頼む!今日だけだから!」
何故俺がこんなにも焦っているのかと言うと、いつまたどのタイミングで森に戻されるのか分からなかったからだ。俺には時間がない。もしこのまま何も出来ないまま森に戻ったとしてまた中三をやり直せるとも限らない。チャンスはもうないかもしれないのだ。
「そこまで言うなら‥‥」
俺の熱意が伝わったのか渋々了承してくれた。そのあとバレるかヒヤヒヤしながらお互いに適当な理由をつけて学校に電話をした。
「こんな事してマジでバレたらやばいからな」
「マジで感謝するよ!さんきゅ!」
「なんで感謝なんだよ、意味不明」
「まぁ深い事は気にすんなって」
「それで、どこでサボるつもり?」
「それ考えてなかったわ」
「無計画過ぎるー」
「わりー、サボることばっか考えてた」
「じゃあさ、とりあえず河川敷でも行く?」
「そうだな」
俺たちはいつもサッカーをしていた河川敷に行く事にした。
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