第15話


 キーンコーンカーンコーン。


 次は五時間目の授業か?


「給食の時間です」


 給食?食べるのか?


「印象に残っている給食を作ってください」


 食べる方ではなく作る方だった。


「作る?そんなの無理だよ!」


「ではスタート」


 印象に残っていると言えばなんだろう。

 俺は一生懸命思い出していた。


 それよりもこの展開に慣れ始めていた俺は食材がどこにあるとか、どこで調理するとかがだいだい分かってくるようになっていた。


 そして、予想通りどこからともなくキッチンと食材が現れた。


 給食‥‥給食‥‥。

 俺は思い出した。印象に残っている給食!


 作れるかは分からないがイメージだけで調理する事にした。



「終了です」


「これでどうだ‥‥」


「正解です。一年進めます」


 俺が作ったのは鶏そぼろ丼だ。

 鶏ひき肉を調味料と一緒に火にかけただけの簡単な料理だ。


 忘れもしない小学五年生の時、デザートがケーキだった日の事だった。俺はケーキをとても楽しみにしていた。しかし、その時の給食当番だったやつが俺の分のケーキを配る時、後ろから置こうとしやがって、それに気付かなかった俺の手が当たってケーキが落ちた。


 先生は新しい物に取り替えてもくれず、俺のせいだから仕方ないと言って結局ケーキは食べられなかった。


 半泣き状態で食べた鶏そぼろ丼の味はしなかった。


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