第3話
ピピピピ‥ピピピピ‥‥‥。
目覚ましの音で目が覚めた。
ここは‥‥俺の部屋だ!戻ってる。
あの変な森か林か分かんないけど、抜け出せたんだ。よかった‥‥もしかしたらただの夢だったんじゃね?うん、きっとそうだ‥‥。
それにしても今日は早起き出来たしたまには朝から行動するか。
そう思い顔を洗いに一階に降りた。
「りょうやー早くしないと学校遅れるわよー!」
リビングの方から母親の叫ぶ声がした。
何言ってんだろうと思いながらリビングに行くと、朝食の準備をしている母親の姿が。
「急がなくていいの?ホームルーム終わるわよ」
「かあさん何言ってんの?俺もう高校生じゃないから」
「あんたこそ何言ってんの?今受験生でしょうが」
「は?」
俺には母親が何言ってるのか理解が出来なかった。ついにボケてしまったかと思ったほどだ。
「勉強のし過ぎで寝ぼけてるのねきっと。うん、きっとそうだわ」
「なにぶつぶつ言ってんの」
「まぁいいわ、早くご飯食べちゃいなさい、かあさん仕事行ってくるから!」
「はーい‥‥って、え?ご飯食べていいの?」
「はぁ、いっつも何も言わず食べてるでしょ、じゃあね!」
そして母親は忙しなく出掛けて行った。
俺はラッキーと思い、朝食を食べながらスマホで求人情報をチェックしていた。
その時スマホが鳴った。
着信は幼馴染のゆうやからだ。
「ゆうやから電話してくるなんて珍しいなー」
「は?何言ってんの?お前遅刻だぞ?」
「遅刻?今日約束してたっけ?」
「お前ついに勉強のし過ぎで頭イカれたか?」
「え、マジでなんなの?」
「え、こっちがなんだよ。今日学校だぞ?」
「‥‥‥ちょ、またかけるわ」
俺は電話を切るとカレンダーをよく見た。
オーマイガー‥‥‥。
状況を理解するのに時間はかからなかった。
あの蟻地獄にハマって出てきたのが一年前の今日って事か。
俺はまだ高三‥‥‥って事は大学に行けるかも!俺は至って前向きだった。
よっしゃー!ラッキー!!
そうと分かれば学校に行こう!
俺は着替えて学校に向かった。
まぁ一年戻ったところで景色は変わらないが、心なしか空気が美味しく感じた。
そして着く頃には二時限目になっていた。
「やっときたよ」
ゆうやがダルそうに呟いた。
「おっはー」
「遅刻しといてやけにテンション高いな」
「まぁね〜」
言ったところで信じてはもらえないだろうからこの事は秘密にしておこう。
「りょうや今きたの?!」
そして忘れていたがその時期俺には彼女がいた。この子は俺の彼女、いや元カノの愛。
相変わらずめっちゃ可愛いな‥‥。
「何?じろじろ見ないでよ気持ち悪い」
獣でも見るかのように机に座った俺を見下ろす。
「あっわりー」
あっぶね、つい見惚れてたわ。
俺たちは三人で仲良く食堂で昼食を取ったりと午後も一緒に過ごした。
「りょうや今日もうち来るでしょ?」
「えっ?いいけど、なんで?」
「なんでっていっつも一緒に勉強してんじゃん」
そうだった、受験勉強と称して愛のうちに行ってはイチャイチャしてたんだ。
「お!も、もちろん行くよ!」
俺は愛と別れてから誰とも‥‥‥。
「何?嫌なの?」
愛が不機嫌になっている。
「嫌だなんてとんでもない!」
「なんか今日のりょうや変なのー」
「変じゃねーし、ほら早く行こ!」
そして愛の家にお邪魔して‥‥、懐かしいなぁ。時々愛のお母さんが差し入れしてくれるんだけどその度に机に向かって勉強するフリしてたんだよなぁ‥‥。
俺はいつもの定位置に座るとカバンから教科書とノートを出し、机に広げる。
もちろん愛も同じように広げる。
俺たちは隣同士に座った。
「てかさぁ、りょうやが遅刻とか珍しいけどなんかあったの?」
「いやぁ、朝のんびりし過ぎてさぁ」
「そうなんだ、遅刻はやばいから気をつけなよ?」
「わかってるって」
それより俺はこの状況に胸が昂っていた。久しぶりの女の子‥‥それも愛と二人っきりで‥‥。
「キスしてい?」
「なんで私に聞くのよ」
「じゃあいいって事?」
「そんな事いっつも聞かないじゃん」
そう言いながらも少し照れている。
俺が見つめ過ぎたのか、顔を向こうに背けている。
「じゃ、するよ」
俺はそう言って愛を優しくホールドしながら顎をクイッとこちらに向けキスをすると、それに応えるように愛も返してくれた。
これこれ!
一年前最高じゃん!戻ってよかったー!
心からそう思った。
俺は久しぶりのイチャイチャに興奮が収まらない。
しかし、次の瞬間ブルブルッと体が震えた。
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