第11話 『love』 勝手に昭和バージョン

先日、誕生日だった。この歳になると歳を取るのは嬉しくないけどイベントとしては好きだ。今年から一歳ずつ若返っていこうかな。そんなことが出来たら良いなぁと思いながら過ごしている。


この前歯科で妄想していた、誕生日プレゼントに「現金下さい!」は流石に夫や母姉に言えないので、当初の予定通り24色色鉛筆とおとなの塗り絵とDTMでの作曲の本を夫から貰った。あと自分で自分にプレゼントと言う事で用意していた一曲のみのCDは『かいじゅうずかん』という本の付録。実は買ってから数ヶ月我慢していて、当日に開封する事にしていた。どんな曲かとワクワしながらこの時まで待っていたので、初めて聴いた時の感慨もひとしお。とても壮大で海を連想するような、綺麗で心が洗われるような曲だった。


あまりにこの『love』と言う一曲だけのCDが気に入ったので、普段も聴きたいと思った。私は普段はサブスクだ。しかし、この曲だけサブスクに配信されていないのでスマホでは聴けない。そこで私はスマホに取り込むことにした。


PCからスマホへ移す。どうやってやるの?そこから始まった。何でも誰だったか機械が必要と言っていた気がする。でもPCとスマホを繋ぐUSBケーブルもCDレコなどと言う洒落た機材もない。どうするべきかな。私は考えた。


まずスマホをPCのスピーカーの近くに置く。CDをPCに入れる。メディアプレーヤーが出てきた。再生。音の大きさを調節してもう一度頭から出す。スマホでインスタライブを録音する時の二重丸を押してコピー。あれ?これだとスマホの中の画像と音しか録れないよね?と思いまた考える。ボイスメモと言うのがあったので、それを使ってみることにした。


もう一度頭から曲を流す。ボイスメモの赤い丸を押す。しばらく良い感じで進んでいた。しかしついにその時は来てしまった。

「ピー、ジョボジョボボボォ〜」


回していた食洗機の排水音が・・・。録音したものを聴いてみたらやはり「ジョボジョボボボォ〜」は入っていて、思わぬところで曲の効果音みたいになっていた。

昔、テレビから歌番組で歌うチェッカーズやドラマの主題歌などをCDラジカセで録音していた昭和時代を思い出してしまった。大抵録音している時に限って親が何か言いにくる。そんな原始的な昭和の録音を令和の今、またやっている。


平成時代に作られた曲だけど、効果音に「ジョボジョボボボォ〜」が入ってそれが結構曲に上手く溶け込んでいて、最後の切り方が「ブチッ」と切れるところが昭和っぽくてなかなか良いかもしれない。勝手に作者とコラボ、

『love』〜昭和バージョン〜 という事にしておこう。

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