第12話 出逢いを聞かれて面食らう

うちには息子がいる。高校2年生だ。最近気になっていることがあるらしい。


彼の学年でも最近は何組かカップルが出来ているそうで、自分もそろそろと思っているらしい。友達同士の会話でもそう言った話題があるらしく私に色々と探りを入れてくる。正面からいきなり聞かれると親としては結構答えにつまる。別にやましいことがあるわけではないのだけど、まさか息子に根掘り葉掘り聞かれるとは思ってもみなかった。はっきり言って戸惑う。


「お父さんとはどこで出会ったの?」と息子。「なんでそんなこと聞くの?」「最近友達も親に聞いたらしくて、YouTubeでもそういう動画があったし、うちではどんな反応かなと思って。でどこで出会ったの?職場?」「違う」「合コン?」「違うよ」「居酒屋の隣の席?」どういうシチュエーションなんだよと内心思いながら「違うよ」と。「じゃあどこ?」「秘密です!」「なんで隠すのー」と息子。


私は20才の頃からネット世界の人間だ。PCが来てから音楽を作ったりHPを作ったり、絵を描いたり、アフィリエイトの店を作ったり。自分のHpを作っている時に出会ったのが今の夫。つまり夫もネット世界の住人でそこで意気投合でリア友になった。つまり趣味が一緒。でもこの出会いは当時としては危険な出会い方で(今もそうかもしれないが)夫の実家では知られていない。誰かの紹介ということになっているらしい。私の両親は知っているのだけど。


「最初どこであったの?家に行ったの?」「いきなり家になんか行かないよ」「じゃあどこ?」「初めて会ったのは、どこだったけな?もう随分昔だから忘れちゃったな・・・。確か・・・原宿とか青山だったかな?いい喫茶店があるから行こうと言われて行ったよ。素敵な喫茶店だったね。今はもうないらしいけど。色々なところに行ったね」「原宿なんてチャライ!」「え?」「チャライよ」「・・・」面食らった。チャラいのか??


そんな会話があった事を夫に伝えると、「あいつも色気づいてきたか」と、なんだか2人でニヤニヤしてしまった。2年くらい前までサンタクロースはいるのかいないのかと友達と言っていたような夢の世界の住人だったのに。中学校の先生にサンタクロースの正体をバラされて、みんなで呆気に取られてゲラゲラ笑ってから早二年。やっぱりあれは親だったのかと。Googleか何かでクリスマスの日のサンタクロースの居場所をやっていたので半信半疑だった子が何人もいたらしい。


マスク、不織布やめて黒のカッコいいのにしようかな?コンタクト入れたいな。服装がダサいんだな。フード付きはオタクに見えるとかこんなことばかり言っている。頑張れ息子。健闘を祈る。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る