第7話

 車で走り出すとすぐに追手の車がやって来た。

「この車じゃ不利だな」

 こちらは軽トラック。相手は普通乗用車3台。

 アクセルを思い切り踏むが、すぐに、前方以外の3方を囲まれてしまう。

 しばらく並走していたが、乗用車3台の速度が急に落ちた。

 何だと思い、前方を見ると、橋が壊れていた。

 貴史は即座にハンドルを切り、ブレーキを踏んだ。

 落ちる寸前で、車は止まった。

 手のひらから汗が滲んでいた。

 貴史は車から降りると、上司が立っていた。

「さあ、もう逃げられない。戻って来るんだ」

「嫌です」

「なぜだね?お金は十分に与えているはずだが」

「お金じゃないんですよ。私の中の正義観が訴えかけているんですよ。これ以上この研究を続けてはならないと」

 貴史はチラリと後ろを見て、橋の空白は10メートル程と目測する。

「正義観?ふざけたことを。マッスルパウダーは、軍にとって有益だ。この国にとってもだ。わが、国が独占販売すれば、多大な利益を生み出すことぬる」

「それが戦争に使われてもですか?」

「無論だ」

「交渉決裂です」

「どうするつもりだ?」

「こうするんですよ」

 ポケットからピルケースを取り出し、崖に投げ入れた。

「ああ、何てことを!」

 そして貴史は崖に向かって走り出した。

「やめろ!死ぬ気か!?」

 貴史はジャンプした。10数メートルの崖を飛び越えて。

 着地するて、あっかっんベーして、貴史は走り去った。


終わり

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マッスルパウダー 浅貴るお @ruo

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