第4話

 マッスルパウダーは、貴史の作った薬だ。本来は、治癒力を高める為の薬を開発していたのだが、その途中で、もう一つの効果があることが分かった。

 本来人間には、人体が破損しないように、リミッターがある。しかし、この薬は、肉体的潜在能力を引き出すことが確認されたのだ。

 現在は、治癒力を高めるためではなく、肉体的潜在能力を引き出す為に研究が進められるようになっていた。

 スポーツのドーピング。それだけではない。もう少し研究が進めば、軍事利用も考えられる。

 その危険性にも、思い至った為、薬を持って逃げ出したのだが、このあり様だった。

「右腕が痛い」

 右腕がズキズキ痛む。

「戦いは避けた方が良いな。殴っただけでこの様だ」

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