第3話

 ドアが壊された。貴史に緊張が走る。

 汗ばんだ手で、ピルケースをポケットにしまう。

 部屋の灯りが灯る。

「居たな、博士」

 見つかってしまった。

「博士、抵抗しないで下さい。ラボに戻りましょう」

 そうは言うが、二人は警棒を取り出し、明らかに警戒していた。

「ラボに必要なのは私どはない。私の研究成果マッスルパウダーだろう?」

「マッスルパウダー??」

 二人顔を見合わせた。

「なるほど、たかが警備員には、知らせられないか。マッスルパウダーのことは」

「なにを言っているんだ?」

「しかし、私が危険だと言うことは、警戒を見る限り、知らされているようだな」

 二人は警棒を構えた。

「だが、遅い」

 貴史は床を蹴って、素手で警備員二人に向かって突っ込んで行った。

 警備隊長は警棒を振り上げるが、貴史の腕の方が早かった。

 右アッパーが、見事に顎に決まった。

 グキィ。

 殴った右腕にに痛みが走るが、気にせず右腕を振り抜いた。

 殴られた警備隊長は、天井に頭から突き刺さった。

「さて、次は君だ。どうする?私と戦うかね?」

 警備員は、天井に突き刺さった隊長を見た。

「ひいいぃ!」

 悲鳴を上げて、背中を向け貴史から逃げ出した。

「痛っ」

 貴史はその場にしゃがみこむ。

「こりゃあ、体に負荷がかかりすぎるな」

 マッスルパウダー。それは、人体のリミッターを解除し、強化する薬だった。

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