第39話 最終決戦
「はぁ~まさか君達と一緒に本物の邪神と戦う事になろうとは思ってもいなかったな。とはいえ浅斗君、朽木、はっきり言うと今の僕は
「あぁ、その方が俺も浅斗も戦いやすい。成神、井須を頼む」
「あまり後に立たせたくない人ですが、今は信用しましょう。サボらないでくださいね成神さん」
奇妙な共闘。しかし、この事態において3人は互いをしっかりと信用していた。何故なら敵対する存在の大きさに
ヨグ=ソトースは銀色の液体の球を放つ。ソノ球に触れた所は腐食し溶けていった。分厚い金属の壁さえ難なく溶かす球。触れたら間違いなく即死だ。球の直径は約5m。ソノ死の球が何個も向かってくる。
スピードは無いが範囲があまりにも広いため避けるのが困難な攻撃。成神が魔術で軌道をずらしているが全部の球をずらす事は不可能。また、ずらせる範囲も
突如として朽木の視界を複数の銀の球が
『死』
の文字が頭をよぎった時、浅斗が朽木の前に立ち迫りくる銀の球に向けて手を伸ばした。
すると朽木の炎を全く意に介さなかった銀の球が一瞬にして消した。
「我が力を消し去るとは素晴らしい。やはり、お前だけは他の
ヨグ=ソトースの
「
朽木はヨグ=ソトースに向け炎を噴射するがソノ禍々しい炎はやはり当たる事なく、
「自身の周囲の空間を歪めて攻撃を
浅斗が飛び出そうとするのを朽木が首根っこを
「待て、ヤツに近づくな。別の場所にとばされるぞ。ヤツの目的はお前だ。お前を孤立させる事ができればヤツは加減する事なく力を振るうだろう。そうして俺達を殺して何もかもが終わった後に絶望したお前をゆっくりととりこむつもりだ」
「クソ、じゃあどうすればいいんですか?このままだと完全にジリ貧ですよ」
「落ち着け。今、俺も必死で考えているんだ…」
キレ気味の浅斗を朽木が
ヨグ=ソトースの言葉は
その時…
自身に対する失望の中で朽木は思わぬ希望の声を聞いた。ソレは精神に直接語りかけられたモノだった。
そして朽木はヨグ=ソトースに向け自分の魔力を使い切る程の炎を放った。
◇
ヨグ=ソトースは苛立っていた。己の勝利は確実であり目前である。それは奴らも分かっているはずだ。それなのに何故、無駄な抵抗をやめない。特にあのクトゥグアの力を使う男。取るに足りない虫けらの
怒りが頂天に達しそうな時、奴が今まで以上の炎を放った。
これには流石に視界を奪われ、数秒の間だけソノ炎の対応だけに力を使うはめになったが、所詮は人間の猿真似。
「人間にしては凄まじいがモデルである生ける炎と呼ばれた邪神クトゥグアの炎には遠く及ばないな」
時間は少しかかったが今までの炎と同様に別空間にとばした。視界を
「目眩ましのつもりだったが無駄な事を。先のが全力か。察するにもう炎を放つ力も残っていないのだろう」
好都合だ。これで浅斗の目の前で邪魔なこいつを殺す事ができる。理解し難いがこの場でのやり取りを見るにこいつは浅斗のお気に入りなのだろう。なら、目の前で
ヨグ=ソトースは何の疑問も持たずに朽木の接近を許し、念入りに避けられない距離で攻撃を放とうとした時…
「残念でしたね。朽木さんではなく
接近を許した人物に体の大半を消滅させられて己の過ちに気づいた。
◇
逆説的に浅斗の体に入れられた井須晋太郎には意識があった。しかし、長い年月の間まともに動かなかった体という事と接続された生命維持装置の影響で上手く、その事実を伝えられずにいた。その中で井須は朽木達の
それは朽木と浅斗を入れ替わるという単純な作戦であった。まず朽木と
異能は精神に
「後の虫けら2人は恐れるに足りない」
という発言に偽りが無く、ヨグ=ソトースが朽木を完全に侮っていたからこそ勝利する事ができた。いや、その虫けらにすらカウントされていなかった井須の働きあってこその勝利というのが正しい。力なき故に全知全能の外をついたのだ。
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