第30話 ??????の回想

 太古の昔、神々による大きな戦争があった。

 それにより多くの邪神が眠りについた。

 ソノ邪神も敗れ、全く繋がりの無い次元にへと追放された。


 長い年月をかけ、ようやく元々いた宇宙に介入できる様になったが、与えれる影響は微々たるモノだった。全盛期とは比べ物にもならない弱々しい力。恐らく、他の邪神達も復活したところで己より悲惨な状況だろう。

 恐るべくして、忌々しい魔王アザトースに関しては知性を奪われ今や見るも無惨な白痴の怪物。付き従うモノ、信仰するモノがいるとはいえ、神というよりも装置の様な存在でしかなかった。

 嘆かわしいにも程がある。そんな絶望の中、かつての仲間と呼ぶには忌々しいヤツが提案をしてきた。


「僕が思うに地球という惑星にいる人間は最高の玩具おもちゃの素材だ。君も気にいると思うよ。彼らを使えば君の望みも叶うかもしれないよ?」


 戯言をと思いながらも試しにその人間と言うものに介入してみた。ヤツの提案にのるとは今思い返せばおろかかな行為であったがそれだけ追い込まれていたのだった。


 結果的人間というモノはに弱々しい生き物のわりにそれなりに使えた。

 知識を与えれば魔術を使える者もいるし、信仰心を理由すればそれなりに働いてくれた。

 何よりも我々の力の器として使えるというのが大きなポイントであった。

 そこから我は人間との間にに子を作ったり、知識を与えたりしながら勢力や信仰を広め完全なる復活の手助けさせていった。

 しかし、それらは守護者など様々な要因によって阻まれ失敗に終わった。力が足りない。その時改めて感じた。たとえ、計画が成功し、完全な復活を成し得たとしても宇宙を統べるには足りない。それは前回の戦争の結果からも分かり切っていた結論だった。


 足りない 足りない 足りない


 そこで新たなる計画を思いついた。その計画をヤツにも協力させた。ヤツも最初は


「面白い。是非、僕にも協力させてくれ。それにしても凄いな。君もしかして僕なんかよりイカれてるんじゃあないか?ハハ」


 とムカつくぐらいに乗り気であった。人間という器を使いかつての我々の権能を育て刈り取る。ソレを我が物とする。

 かくして教会が設立された。ヤツの助言を元に信仰心が薄いがその分、新しい信仰が芽生えやすいという日本を中心に勢力を拡大して行った。

 教会の運営はヤツと信者の人間達により上手くいった。予想以上に邪神の力に適合する人間は多かったが、その力は本来のモノと比較にならないくらい微弱だった。人間の器では我々の力を完全に再現するには容量不足だったのだ。

 人知れない人類の歴史の中で信仰の対象の器として作り上げられた巫女などの家系などであればまだそれなりではあったが、そんなのはレア中のレアで数が少ない上、今では廃れ見つけ出すのが困難であった。

 そこで器となる人間を魔術や科学技術を用いて新たに作り出した。作り出した人間は器としての容量は平凡な人間よりはあったが覚醒に至る者が少なかった。


「覚醒に重要なのは強い感情だよ。その土台は教会ここだけでは生まれない。外で多種多様の人間と触れ合って様々な感情を獲得させる必要がある」


 相変わらずヤツの言葉は理解不能だったが、人間というモノを理解しているのはヤツの方なのは違いない。器として作り上げた人間を教会の外に出し、頃合いを見て回収するようにした。

 確かにそれにより、少しは覚醒に至る者は増えたが、多くの者は平凡な人生でたいした能力を引き出す事もできずにいた。

 そこで意図的に大きな感情を引き出す様に介入する実験が提案された。人間の感情というモノは相変わらず理解し難いモノだったが、とりあえずヤツと信者である人間達に任せた。

 正直な話、あまり期待はしていなかった。最早、この計画自体に関して投げやりな気持ちでいた。

 しかし、奇跡と言っても良い程の素晴らしいモノが誕生した。アノ魔王アザトースの権能の再現。我さえも恐れた全てを消し去る力。

 ソノおぞましい力と弱体化したてはいえ、我の権能が合わされば…


「君は相変わらず視野が狭いね。せっかく、凄く面白い事になって来たのに」


 実験体からアザトースの破壊の権能を更に引き出そうと計画をしていた時だった。ヤツはそう言い残し、我の元を去っていった。


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