第5話 朽木の過去(出会い)
これは過去の出来事、今も自分を苦しめる戒めの記憶。与えれた罪。
「君には僕と同レベルの神の力があるんだからもっと意欲的になってくれると嬉しいのだけど。選ばれた僕達が本当の神のように世界を支配できるかもしれないのに勿体無いじゃないか」
と教会のマスターの
そんなある日、その成神の命令で自分にパートナーができた。
「これから君と一緒に行動を共に行動をしもらう事になる
「
成神から紹介された青年は中学生か高校生ぐらいの年頃だろうか、身長は160cmぐらいでこの場にそぐわないような平凡な感じな雰囲気だった。
「なんでこんなガキのおもりを自分がしないといけないんですか?正直足手まといです」
「君は能力に問題ないけど、協調性が無いからね。これを機に協調性を身につけて欲しいと思って、上に立つのにはそういうのも大切だよ」
「興味無いです。だいたい協調性が無いのを成神さんだけには言われたく無いです」
「ハハ、コイツは手厳しい。確かに僕も単独行動とか多いけど、少なくとも君よりは全体を見て行動しているよ。それとこれは決定事項だからね。ちゃんと仲良くしてね」
「能力の都合上で巻きこんで焼き殺してしまうかもしれません」
「それはいけないなぁー。一様、彼は重要な護衛対象でもあるから気をつけてね。まだ覚醒はしていないけど貴重な適合者候補だ。場合によっては君と同じマスター候補だ」
適合者候補は確かに貴重だが、この扱いはさすがに破格だ。察するに自分と同じかそれ以上の神格クラスの適合者なのだろう。護衛対象ということだが、実際のところ監視だ。暴走したら教会が破滅する可能性もある。
「護衛対象なら
自分の仕事のほとんは適合者に失敗し暴走した者、脱走者や裏切り者などの処分だ。そう言った意味ではこの任務は適しているが、同時に死の危険性がある仕事の場面に護衛対象を連れて行くということだ。
「君もその子も含め、周りを知るよい機会かなと思って。まぁそういうわけで未来の幹部同士で今のうち仲良くなっておくれ」
そう言い残し成神は浅斗を押し付け去っていった。
浅斗は想像以上に足手まといだった。現状で戦闘力が無いのは仕方がないことだったが。そもそも生き物を殺す事ができない。それが人間の形を保ったもの、完全な化け物であろうと関係なく殺害を
「お前は適合者になったとしても駄目そうだな。成神さんはなぜかお前に期待しているようだが、使えない適合者なんてリスクでしかない」
「毎度、迷惑かけてすいません。次こそは朽木さんの役に立つよう努力しますから」
「言葉だけならどうとでもなる。お前自身だって向いていていないのがわかっているだろう。処分されるのが怖いからって俺の前で見え透いた嘘はやめろ」
「嘘ではないです。確かに処分されるのは怖いです。ただ何も成しえないのはもっと怖い。せっかく異能力が使える適合者に成れる可能性があるんです。俺もその力で世界を変えていきたい」
それこそおべっかだと普通はあざ笑うだろう。しかし、常人なら正気を失い逃走や自殺を計るような現場に目を背けずに何度もついてきたのは事実。たとえその言葉自体は偽りだとしてもなんならかの強い意志があるのは確かだ。
「何故、そこまで教会の思想に
「正直、今の教会のあり方に良い印象はありません。だけど世界を支配し変えれるだけの力が本当にあることは馬鹿な俺にも解ります。俺はこの理不尽な世界を変えたいんです」
「理不尽な世界?」
「俺は実の親から虐待を受け捨てられ、教会が表向きに経営していた孤児院で育ちました。そこでは様々な子供達がいて数多くの不幸があることを知りました」
「ガキの時から世の中が不平だらけだと知ってしまったわけか」
「また教育を受けることで世界にはもっと多くの不幸があることを知りました。戦争や差別など人間が作り出す地獄には際限がない。瞬く間に消費される命。それこそ教会での人道に反する行為でさえ比べ物にならない程に。これを止めるのに人間を超越する者による管理が必要なのは事実だと思いました」
「だからお前自身がその超越者になって世界を正しく管理したいってことか。つまらない倫理感に囚われているわりには考えがいかれているな。まぁ、今のお前だと世界どころか教会のあり方さえ変えるのも夢のまた夢だな」
「そうなんですよねー。運良く神格クラスの適合者になったみたいなんですけどね。今だに能力の覚醒もしないし、朽木先輩のおっしゃる通り覚醒したとしてもそう上手くいきそうも無いんですよね。それでも諦めませんよ俺は。どうせ最初から夢みたいな目標だったんです。この奇跡にすがってダメ元でも頑張りますよ」
浅斗の夢は絵空事でありまた教会の思想教育的による面もあった。だが、そうであっても何も持たずに空虚なまま教会に従う自分よりも確かな自分の意志があり、叶う望みが薄くとも、それに向かう浅斗の姿は人間らしく幸せそうに見えた。
自分はこの青年の行末を見届けたくなった。それがこの青年に対する嫌悪なのか、羨望なのかまたは別な感情からくるものかはわからない。ただ、空虚な自分が初めてエゴを得た気がした。
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