第33話 返報性の原理

2022年5月10日


 彼と寄りを戻して5日目、少し迷いがあって先生に連絡をとった。

「あれから、普通にLINEしてるんですが、彼を支える体勢は変えずにやってるんですが、こちらからも頼らないと駄目ですよね?甘え方がわからなくて困ってます。」

 私はいつも彼に合わせてLINEを送っているので、彼のわがままを聞いたり、支えたりする事が多い気がしていた。男性は女性から頼りにされたい、甘えられたい気持ちがあるのではないかと思ったのだ。

「頼るところは、会った時の方が良いと思います。」

「会った時に頼るってことですか?LINEではこちらが支える感じで?」

「そうです!まだすぐに今までの様にしてはいけないので、徐々に自分を出す形にしてください!」

「はい。。わかりました。多分、今迄の自分は今後も出ない気がしてます。今迄は、会えない時辛かったり、我慢して。。寂しくてネガティブになったりして、LINEもしちゃダメだって思ってしまって。。でも今は何で会えないのか全部秘密も分かってしまった。。それに気持ちも多少冷めて丁度良く自分をコントロールできるようになってるんです。今はポジティブで、LINEも明るく先生のしてくださってたようにできてます!」

「いいですね。それでOKです。ただ、今自分を出さない理由としては、彼の返報性の原理を使いたいからです!人間はしてもらったことを返す傾向があるので、そこにフォーカスして、まずは与えて、そこから返してもらう時にちゃんと甘えられればOKなので。」

 返報性の原理とは、相手に何かをしてもらった時に次は何かの形で自分が何かしなくては。と思う心理の事らしい。

「わかりました。ただ、相変わらず何考えてるかわからないんです。振り回されないように気をつけるばかりです。」

 本当に振り回されたくない。彼は私が神対応をした時に、私と付き合っている時にセフレに手を出したと言っていたのに、セフレはいない、ヤリもくの人がいると言い出したり、一体何が本当なのかわからない。聞きたい事は山ほどある。でも気にしても仕方ないし、普通に嘘はつかれているのだから今更追及するような事をしても意味がないのだ。

「その軸で申し分ないです。こちらが一切波風立てなければ、彼の波も落ち着くので、軸をしっかり持って接していきましょう。」

「有り難うございます!頑張ります!」


 彼の事はまだ好き。悔しいけれど。でも冷静に物事を考えられるまで私は成長した。

「今日の1枚送って欲しいな。」

「え?射精?」

 私は彼の顔が好きだから、毎日彼の顔が見たい。でも彼が送ってくるのは性器ばかり。いらないとは言えない。彼は私が興奮すると思って喜んで送ってくるのだから。まるで小学生がそれを見せびらかしてくるように送ってくる。

「ううんー。お顔。。1日1枚お顔見たい。」

「大分窶れてるやろ。」

「うん。。でもありがと。送ってくれて。」

 彼は顔だけの写真を送ってくれた。確かに窶れていたが、やっぱり彼の顔が好きだ。何度見ても飽きない。そういえば昔も顔がかなり好みの彼氏がいたっけ。大好きで会えるだけで幸せだった。でもやっぱり顔だけではダメになる。結局その人とも性格が合わず別れたんだっけ。

「射精も?」

「うん。」

 すぐに、射精写メも送ってきた。それは薄くて少なくて、彼は申し訳なさそうにしていた。

「ちょっとしか出んかったわ。。」

「ありがと。それでもいいよ。」

「興奮できる?」

「もちろん。」

 興奮なんてできる訳ないが、こう言えば彼が喜ぶ。

「Rさんも変態よね。」

「普通じゃない?もう見れないと思ってたから、見れるのが嬉しいし。」

「まあ僕もいつもシコってるから人のこと言えんか。。」

「そやね。。別れた時、ブロックされなかったから、私に何ができるのか、してあげれるのか、毎日考えてた。」

「ブロックなんかしないよ。」

 彼と別れた2月のあの日から、彼は何度も私に「僕の事はもういいから次に進んでね」と言った。既婚ダミーが近づいた時も、私とはもう連絡も取ってないよと言ってうざそうにしていた。でも、LINEブロックをする事はなかった。何故なんだろう。ブロックされていてもおかしくないのに。彼はそんな態度だったのに。


2022年5月11日


「はやく会いたい。」

「会いたいね。」

「やっぱり。。私にとっては、傍にいてくれるだけで心強い。」

「そう?弱々やのに。」

「しんどいのに、仕事めっちゃ頑張ってるし、偉いなって思う。偉すぎ。尊敬してる。見た目もいいし所作もいい。存在だけで心強い。おやすみなさい。」

「そんなことないよ。おやすみ。」

「素直に受けとめるの大事だよ。」

 誉められて嬉しくない人はいない。彼を持ち上げて、居心地良くして、それからそれから。。どうしよう。。

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