第10話 回想編⑦嫉妬心

2021年9月


 元彼とは、お互い嫌で別れた訳ではない。ある事が問題になり、私の方から別れを告げた。別れるのも嫌だけどとにかく関係を絶ちたくないと強くお願いされたので、今でも友人関係として繋がっている。たまに「どうしてる?」と連絡があり話す仲だった。その元彼に私の方から連絡するのは稀だったが、LINEを送った。


「どうしてる?久しぶりに会わない?」

「会う会う、会いたいー。」

「ちょっと心細くて。。」

「どうした?」

「抱き締めて欲しい。」

「いいよ。俺も抱き締めたい。」

「したい?」

「もちろんしたい。」

「じゃあ、しても。。いいよ。」

「本当に?いつ会える?いつでも時間合わせるわ。」

「うん、わかった。また知らせるね。」


 このやり取りを彼にスクリーンショットで送り、報告した。彼はこのやり取りだけで激しく嫉妬し、大興奮。この画面を見ながら自慰行為を何度もした。

 

「やる気満々やん、元彼。エロいわ。いつ会うの?」

「まだわからない。今月中。」

「会ったら本当にする?」

「うん、多分する。」

「そら、そうやんな。」

「本当に、してくるよ?いいの?」

「うー。まだ迷ってる。」


 彼にはまだ迷いがあるようだった。というのも、彼との別れ方に引っ掛かりがあったようだ。「元彼と別れたのは、彼の母親が私との付き合いを反対していて、私が本当に支えて欲しくて、傍にいて欲しかった時に来てくれなかったから。」と言ったら、「じゃあ、愛し合ったまま別れてるやん!」と言ってきた。来て欲しい時に来てくれないなんて、それって本当に母親?と彼は疑いもしたが、この時、本当は奥さんでもいるんじゃないの?と言いたげだった。彼に嫁がいたとすればこんな元彼を責めるような事を言うだろうか。このようなやり取りもあったので、私は彼に嫁がいる事など疑いもしなかった。


 このやり取りの後、一度はやっぱり寝取られは止めてなかった事にして欲しいということになった。元彼にも、私が精神的に安定しておらず変な事言ってごめんと謝り、なかった事にしてもらった。


 しかし、彼はまた元彼を誘惑するように指示してくるのだ。イライラした私はやっぱり決行する事にし、約束の日取りも決めて彼に報告した。強行突破だ。彼は「ごめんなさい!やっぱり止めて!Rさんを失いたくない!」


 しばらくして「もう言ってもダメか。。さよなら。」と言ってきたので、さすがに私もそれ以上進めるのは止めて、「わかった。止めるから、もう言わないで。」と言った。彼は「ごめんね。もうこんな事やめよ。」と言った。この時、彼は特に体調も悪く、精神的にも安定していなかったので、毎日言う事もバラバラだった。寝盗られは健康な時じゃないとしんどいな。と感じた。


 それから何度か「元彼と連絡とってない?」と聞いてきたので、「内緒」と言うと「あかんねん!内緒にされるとあかんねん!それで前もあかんくなってるから!」と慌てふためいていた。彼は内緒にされるのがいちばんこたえるようだ。


 9月20日、彼と大阪で会った。彼の中でこの日がいちばん体調が悪かったようだ。ホテルに行っても彼はセックスする元気もあまりなかった。「また寝取られに走ろうとしてしまった。」「傷つけた。」「罪悪感でいっぱい。」後悔するような発言を繰り返しながら、私たちは一度だけ愛し合った。

 この後喫茶店に行って食事をした。以前も書いたが、彼とのLINEは性の要素がはいっている会話しか長く続かない。しかし会って話すとそうでもなく、他の話でも長く続く。というより、彼がよく話し、私がずっと聴いているパターンだ。彼は家の事やお店の話をよく話した。

「僕はね、神経質で糞真面目ってよく言われる。だからこの病気になったんだって。」「お店の設計も全部自分でやった。人任せにできなくて。店の設計がしたかっただけでお店には興味なかったけど、せっかく設計したんだから、店すればって言われてする事になった。」「お店の雑貨の買い付けに海外に行く事もあるよ。両親と妹も連れていく。」などと、よく話していた。

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