(四)-4(了)

「付き合ってくれ!」

 そう大声を張り上げて頭を下げるこの子に、周囲の客たちの視線が集まった。

「ちょっと! 大きい声出さないの!」

 右手を引っ込めつつ、私は声のトーンを低くして怒った。

 加島が頭を下げたまま「す、すみません」と声を小さくして言った。

「それに『お前』じゃないでしょ。大人の女性に向かって」

 私のその言葉に一瞬顔を上げたが、すぐにまた頭を下ろして加島は「すみません」と頭を下げた。

 その素直なところがかわいく感じられて、私の胸が少しだけきゅんとした。


(了)

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恋人の恋人 筑紫榛名@12/1文学フリマ東京え-36 @HarunaTsukushi

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