(三)-5

「言われました。別れてくれって。好きな人ができたからって」

「で、別れたの?」

「いや、俺は別れたくないって言いました」

「別れなかったの?」

「はい」

「あんた、男らしくないわね。そういうの、すっぱりと諦めるもんじゃないの、男って」

「そんなことできません」

「何でよ」

「愛していますから。彼を」

 きっぱりと言うその潔さは素晴らしい。でも、別れ話を切り出されたにも関わらず、別れないとは……。しかも男の子同士なのに。友情の範囲をどれほど超えているかは想像つかなかったが、この話だと、とっくに一線は越えてしまっているに違いない。


(続く)

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