従姉と幼馴染の彼女と俺

 昼休み、俺は舞花とランチを一緒するべく中庭へと向かった。



「よ、舞花。待った?」


「……………………」



 木製のベンチに一人座っていた舞花に俺は声をかけ、隣に座った。


 しかし返事はなく、送られてくるのは冷やかな視線のみ。



「ど、どうした? なんかあったのか?」


「……なんかあったのはそっちじゃないの? 朝はこっちが話しかけてもうんとかすんしか返してこなかったくせに……今はやけに楽しそうというか嬉しそうだし」


「き、気のせいだろ」


「気のせいじゃない」


「……じゃ、じゃああれだ! 朝は寝ぼけてたって事で!」


「じゃあっておかしいでしょ、じゃあって」



 訝しげな顔を近づけてきてじーっと見つめてくる舞花。思い当たる節しかない俺はその圧に負け目を逸らした。



「……まあいいけど。それより昨日の件よ……電話してる時に聞こえてきた女の人の声、あれほんとにいとこさん? 浮気相手とかじゃない?」


「だからそんなんじゃないって! 昨日もそう言っただろ」


「じゃあなんで電話を切る際に焦ってたの?」


「焦ってなんかなかったけど?」


「焦ってた! 絶対に焦ってた! そもそも昨日は会話の段階から心ここにあらずな感じで変だったし、珍しく電話を早く終わらせようとしてたし――口にはしなかったけど、もう色々とおかしかったッ! 私の言葉を最後まで聞かずに切ったのだってそう――焦ってたから、なにかやましい事があったから切ったんでしょ!」


「ちょ――声大きいって!」



 周り周り! と俺は周囲を見るよう顎を使って示すが、舞花は歯牙にもかけずに睨みつけてくる。



「…………会わせて」


「――え?」


「そのいとこさんに会わせて! 今日会わせて!」


「きょ、今日ってまた急なッ⁉ 向こうにだって都合があるんだから――」


「じゃあ都合が付くまで治親の家で待たせてもらう。み、き、ちゃ、ん、って人にも伝えておいて」


「――どこ行くんだよ! てかお昼は!」


「教室。お腹一杯」



 それぞれに淡々と答えた舞花は不機嫌な足取りで中庭を去って行くのだった。




 ――――――――――――。




 そして迎えた放課後。俺の部屋の円卓テーブルを囲むは男一人と女二人。


 無論、男は俺。女は未希ちゃんと舞花である。


 残念ながら未希ちゃんに予定はなかったようで、まだ明るい時間帯でこうなってしまった……遅かれ早かれの問題ではあったが。



「……………………」


「ね、ねえハルくん。さっきからあの子、ずっとこっち睨んできてるんだけど……私、なにかした?」



 空気は非常にピリついていて……なんとも息がしづらい。







――――――――――――。

どうも、深谷花びら大回転です。


★100目指しちゃったりしてます、よろしゅうおなしゃす

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