第3話 2人の物語は永遠に――
〜卒業式が幸の場合〜
この、僕らの
「俺からもいい? 写真」
「いいよー。でも、落書きは禁止ね」
「は、はい」
海くん、絶対にやる気だったよね。知ってた。
「はいチーズ」
“パシャッ”
「思い出にしなよー」
「何だよその上から目線……」
僕は思い出にするよ。本当に終わっちゃうんだね。この高校生活は、僕にとっては青春だったな。海くんはどう思ったのかな?
「まぁ、俺もさ、この高校で過ごしたかけがえのない日々は忘れようにも忘れられない思い出だよ」
「そっかー、海くんはそんなふうに思ってたかー。奇遇だね、僕もそう思ってたんだよ」
「僕は高3の夏祭りがいい思い出だよ」
「そうかー、俺は高3の文化祭だ」
「おや?2人とも違う思い出だね」
「思い出そうと思えば色々あるけど、そんなことも何もせずに語れる思い出だったからね」
「そっかー」
海くんにとって、この高校生活は嫌じゃなかったんだね。そのことだけは、わかった気がしたよ。海くんがどこの大学に行くか知らないけど……、海くんなら絶対、うまくやっていけるよ
「ねぇ、そろそろ卒業式も終わるし、2人で浜辺に行かない?」
〜卒業式が海の場合〜
今日は何を隠そう、
「あ、いたいた。海くん!最後にさ、一緒に写真取ろうよ!」
「あ、うん。いいぞ」
「はいチーズ!」
“パシャッ”
「この写真、送っといて上げるよ」
「おお、サンキューな……。って、おい。俺の顔だけバケモンにすんな」
「ぷははは、この写真は面白すぎでしょ!」
っー! 最後の最後までー! よし! 仕返してやろう。
「俺からもいい?写真」
「いいよー。でも、落書き禁止ね」
「は、はい」
……。まさか、バレているとは。しゃーない。フツーに撮るだけにしとくか。
「はいチーズ」
“パシャッ”
「思い出にしなよー」
「何だよその上から目線……」
思い出、か……。思い出せば溢れ出てくる。 この3年間という高校生活で、幸が俺と関わっていて、どういうことを思っていたのかは、幸にしかわからないけど……、楽しく過ごせていたらそれでいい。これからもずっと。俺も幸と同じ大学に行くし、まだまだ長い付き合いになりそうだけどな。
「ねぇ、そろそろ卒業式も終わるし、2人で浜辺に行かない?」
浜辺? どうしてこのタイミング何だ?
まぁいいか。
「いいぞ」
〜2人の浜辺〜
「もう春だね」
「そうだな。桜も咲き、いい卒業日和だ」
そういえば、結局、僕はこの気持ちをだれにも言ったことがなかったな。
そういえば、結局、俺はこの気持ちをだれにも言ったことがなかった。
そういえば、海くんはどこの大学に行くことにしたんだろ。文化祭の日以来聞いてなかったな……。海くんの大学次第で今告るかが決まるんだけどな。聞いて……、みようか。
「ねぇ、海くん。海くんは結局どこの大学に行くことにしたの?」
「俺か? 俺はな、名古屋大学」
「え……、僕と同じ……?」
「ああ、幸を一人ぼっちするのは可哀想と思ってな」
なんなの……、その理由……。だけど……なんだろうこの心が和むような……この気持ちは……。
「ありがとう。その気持ち、嬉しいよ」
やっぱりさ、告白は、いたずらを思う存分楽しんだ後にしよう。
幸がこれからも一緒にいてくれるって言うのなら、この気持ちを告白するのは幸のいたずらをたくさん受けてからにしよう。
「これからもよろしくな、幸」
「うん! これからも末永く、よろしく」
まだ、たれにも言えない、言ってない恋だけど……、焦る必要はない。だって僕らは――。
まだ、だれにも言えない、言ってない恋だが……、焦る必要はない。だって俺らは――。
『海と幸!この関係は、切っても切り離せないんだから!』
結局これはなんのために浜辺に来たんだ?まぁでも、大事な気持ちの整理はできたな。
告白はいたずらの後で 四ノ崎ゆーう @yuuclse
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
踏んだらあかんで/登魚鮭介
★15 エッセイ・ノンフィクション 完結済 1話
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます