第19話「タカシ16歳」
俺の名前はタカシ!16歳だ!今は夏休み真っ只中!
「よっしゃあ! 今日はバイトもないぞ!」
朝早くに起きてテンションも上がっている。何故なら、この前買った新作のゲームがあるからだ! 俺は急いで朝食を食べてゲームの準備を始めるのであった。
『異世界転生物語』
この前ネットで調べたら、今大人気の作品らしく1日に10万本売れているらしい! 1度やってみたかったんだよなぁ……。でも1人でやるには少し恥ずかしいから、ずっと我慢してたけど、とうとうやってやるぜ!! このゲームはRPG形式のゲームになっており、プレイヤーは魔王を倒す為に仲間を集めながら旅をするという設定である。そして最終的に魔王を倒したらクリアという訳だ。しかし、ただ魔王を倒すだけではない。なんとクリアすると特典が貰えるのだ! その特典とは……。
「ハーレムエンド……だと!?」そう、クリアするとヒロイン達が皆自分のことを好きになってくれるという何とも素晴らしい特典なのだ!しかもどのヒロインを選んでも必ず幸せになるというおまけ付き。これはもうやらない手はないよね? というわけで早速始めるか! ゲームの電源を入れてソフトを入れる。画面が切り替わりタイトルが表示された後、主人公が映し出される。主人公の名前は自分で決めることができるのだが、せっかくなので主人公の名前を『タカシ』にしておいた。
「さーて、まずは何しようかな〜」
メニューを開いて色々と見てみることにする。えっとまずはステータスの確認をしておかないとね。ステータスを確認したら本編を進めた。
そしていよいよ魔王戦。魔王はかなり強い設定になっているので、序盤はスキルをフル活用しないといけないだろう。
『グオォォ!!』
「くっ……」
うわぁ……。めちゃくちゃ強いじゃん……。このままじゃ負けてしまうかもしれない……。
『フハハハッ!』
魔王の攻撃が激しくなっていく……。なんとか耐えてはいるが、このままでは時間の問題だろう……。こうなったら奥の手を使うしかないようだな……。
「よし……。行くぞ!!」
俺は覚悟を決めてコマンドを選択した。
【スキルを発動します】
スキル「土下座」を発動しました。
主人公は土下座の体制になりました。
魔王は主人公の姿を見て驚いています。
『なっ……何をしているんだ貴様は!?』
「すまん……。実は俺金持ってないんです……。だからお金を払う代わりに見逃してくれませんかね?」
『そんなことできるはずないだろうが!! ふざけるな!!』
「そこを何とかお願いしますよ〜!」
『駄目だと言っているだろう!!』
「チッ……」
こうなってしまえば仕方がない……。あまり使いたくはなかったが最終手段を使うしかなさそうだ……。
俺はポケットに手を入れ、あるものを取り出す。それは小さなナイフだった。
「ん?なんだそれは?」
「これですか?これはですね……。あなたを殺す為に必要なものですよ……」
「フンッ!たかがナイフ程度で我を殺せると思っているのか?笑わせるな!!」
「いやいや、たかがナイフじゃないんですよ?これは特別なものでしてね……」
そう言って俺はナイフを持ってゆっくりと魔王に近づいていく。
『クッ……来るな!!それ以上近づいたらどうなるかわかっているのか!?』
魔王は恐怖を感じているようです。
「大丈夫ですよ。すぐ楽にしてあげますから……」
「ひぃ……!?」
魔王は後ずさりしながら逃げようとしている。しかし壁まで追い詰められてしまい、これ以上逃げることができなくなってしまった。
「やめろぉぉおおお!!!」
「うるさいんだよクソ野郎が!!」
ザクッ!!!! 俺は勢いよく魔王の腹を突き刺した。すると魔王の動きがピタリと止まり、そのまま地面に倒れ込んでしまった。そして体が光に包まれ消えていった。
【魔王を倒しました】
【特典を獲得できませんでした】
あれ?なんか思ってたのと違うんだけど……。普通ならこれで終わりだと思うんだけど……。どういうことだ? 考えていると急に目の前が真っ暗になった。一体何が起こったんだろうと思った瞬間、頭に激痛が走った。
「イテェエエッ!!!」
頭を抱えながらその場にしゃがみ込む。しばらく痛みに耐えていると徐々に落ち着いてきた。
はぁ……なんだったんだ今のは?それにしても頭がズキズキするな……。とりあえず水でも飲もうかな。立ち上がって台所に向かおうとした時、視界にあるものが映った。
「え?なんでこんなところに鏡があるんだ?……ってうわぁあああ!!」
俺はその場で叫んでしまう。なぜなら鏡には見たこともない男が写っていたからだ。髪は長くボサボサで目つきが悪く、まるで犯罪者のような顔をしていた。しかも体はガリガリで今にも死にそうな感じである。
「なんじゃこりゃあぁあっ!?」
俺は急いで自分の体を確認する。鏡に映った姿そのものだった。
「うぅ……」
目が覚める。ああ、なんだ。さっきのは夢だったのか。俺はベットから出て立ち上がる。まだ眠い目を擦っていると、外から鳥の声が聞こえてきた。
もう朝なのか。今日は何しようかな〜……。そうだ!バイト行こう!!……ってなんでやねん!! 自分で自分にツッコミを入れる。しかし冷静になって考えてみる。確か昨日は夜遅くまでゲームをしていたから寝不足で……。そっか!きっと疲れていたせいだな。だから変な夢を見たに違いない。
「よしっ!そうと決まれば準備するか」
着替えた後、朝食を食べて家を出た。いつものように電車に乗って仕事場へと向かう。
「おはようございます!」
「おう、おはよーさん。ちゃんと遅刻せずに来れたみたいだな。偉いぞ〜」
「へっへーん。当たり前ですよ。俺は約束は守る男ですからね!!」
「はっはっは!そうかそうか!それじゃあさっそく仕事を頼むか。まずはこれを倉庫に入れてきてくれないか?」
「わかりました!任せてください!」
店長から荷物を受け取り倉庫へ向かう。よしっ!気合い入れていくぞ!!それから数時間後、作業が終わったので休憩室で一休みすることにした。
「ふぅ〜。やっと終わったぜ……」
「おっ!タカシさんも休憩ですか?」
声をかけてきたのは同僚のヨシコ。この店で一番仲の良い女性だ。年齢は20代後半くらいだろうか?少しぽっちゃりしているが、性格が良く誰からも好かれるタイプの人だ。見た目はかなり美人なので、結構モテるらしい。
「はい。さすがにちょっと疲れましたね……」
「そうですね〜。私なんてクタクタですよ……。あの、もし良かったらマッサージしてあげましょうか?」
「えっ!?いいんですか!?」
まさかの展開キタァアアッ!!これは嬉しいぞ!これはもうやるしかないよね?うん、そうだよ!やらない理由がないよ!!
「はい、もちろんですよ♪では早速やりますね……」
そういうと彼女は俺の背後に回った。そして肩を揉み始める。
「どうですか?気持ち良いでしょうか……?」
「はい……。とても……気持ち……いい……です……」
彼女のテクニックは最高だった。俺はもう昇天しそうである……。
「フフッ……。喜んで頂けて嬉しいです……。もう少し強くしてもいいですか?」
「はい……。お願いします……」
さらに強い力で揉まれる。やばい……。もう限界かもしれない……。
「……くぅ……」
「あら?どうかされましたか?」
「……いえ……なんでもないです……」
「そう……ですか……?なら……続けますけど……」
「……はい……」
「うぅ……はぁ……はぁ……はぁ……はぁ……」
「はい、これで終了です」
俺はその場に倒れ込んだ。
「ありがとうございました……!」
最高の気分だ。また機会があれば頼んでみたいな……。
「いえ、こちらこそ楽しかったですよ」
そう言って微笑む彼女。やっぱり綺麗な顔立ちをしているなぁ……。見惚れていると、いきなり胸元を開け始めた。そして服を脱ぎ捨て下着姿になった。え!?一体何をやって……。突然の出来事に驚いていると、彼女が近づいてきた。そしてそのまま押し倒されるような形になる。そして顔を近づけてきて、吐息がかかる距離にまで近づくと甘い声で囁いた。
「ねぇ、どうしてほしいの?言ってみて……♡」
「ひぃっ!?」
あまりの刺激に俺は腰が抜けてしまう。そんな様子を見てクスリと笑うと、彼女は去っていった。俺は呆然としてしばらく動けなかった……。
……ってこれも夢かーい!はぁ……、なんでこんな夢を見てしまったんだろう……。なんか最近欲求不満なのかな?確かに最近は忙しくて全然できていなかったもんな……。仕方がないので一人で処理することにした。
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