第七章 返事
結局、僕達はうつむいたまま駅までの道のりを歩いていた。
でも、僕が泣きやむまで園田さんは、そばにいてくれた。
白いハンカチを僕に差し出してくれた時、そのはにかんだ表情は僕の脳裏に今も焼き付いている。
「フフッ・・・」
自転車を引きずりながら、園田さんの口元が綻んだ。
柔らかそうな唇から白い歯がこぼれていた。
僕が大好きになった表情だ。
「ありがとう・・・」
別れ際、彼女が言った言葉が僕を天国に吹き飛ばした。
「凄く・・・嬉しかった・・・」
まっ白な頬を真っ赤に染めて、彼女は自転車の向きを変えた。
「じゃあ・・・」
消え入るような声を残して、園田さんは遠ざかっていった。
この日から。
僕と園田さんは、恋人同士になった。
そう、僕は思ったんだ。
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