第一章 彼女のつぶやき
「うーん・・・」
シャーペンを頬に押し当てて、園田さんは悩んでいた。
卓球バカの僕には小説や、図書館に関連することとは無縁だ。
彼女が何を悩んでいるのか、それとも・・・。
「やっぱり、変・・・」
ポツリと呟いた言葉に、僕は反応した。
「な、何が・・・?」
「えっ・・・?」
まさか、返事があるとは予想しなかったのだろうか。
園田さんは戸惑う表情で、僕を見た。
まっ白な肌はコケシ人形のようで。
不思議な魅力を、僕は感じていた。
「な、何でもない・・・何でも・・・」
慌てて、折り曲げた両手を振る彼女の仕草が、凄く可愛く感じた。
「ち、ちょっと・・・だけ・・・」
途切れた言葉の続きが気になって、僕は問いただした。
「本当に・・・良かったら・・・教えてほしい・・・」
切実そうな声だったのかもしれない。
園田さんは僕の真剣な表情(そう、見えていたのかな?)に負けて、ポツリと呟いた。
「だって・・・わたし・・・ブスだから・・・」
呟きが終わらないうちに、無意識に僕は叫んでいた。
「そ、そんなことっ・・・」
その瞬間、生徒会室の全員の目線が僕に集中した。
「う、うぅんっ・・・」
僕の咳払いと、気まずそうな表情に皆さん、気を使ってくれたようで。
会議は通常通り、進んでいった。
僕は真っ赤になった顔を伏せて、会議の進行を聴いていた。
彼女、園田さんの表情を確かめる余裕もなく。
僕の恋は、前途多難だと、改めて自覚したのだった。
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