人だからね(笑)

伯人

第1話 自殺未遂

 いい天気だ。ああ、いい転機だ。

 その日、私は死ぬはずだった。朝起きて、ふと思った。あ~。死のうかなと。開店時間に合わせて、ドラックストアにバイクを走らせ、焼酎の1升瓶と、つまみを少し買って、家へ戻った。その日は、両親とも仕事で、自殺するにはもってこいの日だった。自分の部屋に入ると、焼酎の瓶の蓋を開け、3分の1程、一気に飲み干した。致死量は大体分かっていた。私は、酒を飲んでも吐けないタイプらしく、体内に蓄積され、4回ほど急性アルコール中毒で、病院に運ばれた事がある。1升瓶を、割らずに一気飲みすれば死ねると思っていた。なぜ酒で自殺しようかと思ったかというと、楽に死ねると思ったからだ。飛び降りとか電車にはねられるなんて、想像しただけで痛そうで嫌だ。

 5分ほどすると、目の前がゆらゆらと揺れて見えた。この時点でもう酒を拒絶している私の体があった。しかし、この1升瓶を飲み干さなければ、このくだらない世界とおさらばできないのだと自分に言い聞かせた。酒を飲もうとするが、喉を通って行かない。でも私は諦めなかった。結局、焼酎は300ml程余らせてしまったが、これで死ねると思った。

 それから10分程で、体がいうことをきかなくなってきた。私は、フラフラとした足取りで階段を降り、庭でタバコを吸おうと外へ出た。タバコに火を付け、意識が朦朧としている中で、半分程タバコを吸った。それからの事は記憶にない。気がついたら、私は、病院のベットの上にいた。

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