4 餓者
何かが
「おいで、餓者髑髏。」
ガシャ、ガシャと骨達は震えあがってはぶつかり合い、巨大な骨のみの体を作り上げてビルよりも頭2つ高い、骨の巨人が現れた。
風は更に冷たくなり、月が消えていく。辺りを覆う闇が、水鏡で見た怪物を呼び寄せた。
その姿は大きく変化していて、目は八つ、腕は8本、そして背中にある翼は、人間から奪った無数の腕でできている。あらぬ方向に曲がった腕と指、翼を翻すたびに血が滴っている。醜いという言葉がこれだけ当てはまるものは無い。そして姿以外からも感じる、重々しい圧。男が失い物屋で女から感じた、あの圧と似ている。
女もきっとこの世の者ではない。
闇の中の沈黙をかき消したのは、怪物が先だ。寄生を発しながら、いくつもある拳で餓者髑髏の全体を割り砕いた。
「この子は何処に行こうとも、手に負えなかった者達の骨で生まれた子。」
がしゃがしゃとまた骨の震える音。砕け散った骨の破片はさらに大きな巨人を作りあげ、怪物は餓者髑髏の手に収まっている。獲物の前で舌なめずりをするようにがしゃがしゃと鳴く巨人。
その圧倒的な存在感の前に怪物は動くことはできず、だんだんと巨人は手を閉じていく。肉と骨が潰れていく鈍い音が闇を祓い、巨人は消えていった。
夜は終わり、日の出がやってきた。男は失くした光を求めて、飛び立つ。
2年ぶりとなる愛しき人達のその横顔を撫で、幼き娘の成長を目にした。
そして、魂あるべき場所へ向かう。
消えた魂を見送り、女は深々と礼をした。
「またの御来店無いようにお待ちしております。」
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