違和感のかたまり
六
七時間目の
「ちょっと来てくれ」
昇降口までついて行くと、遠野さんは掲示板へと指を差した。右上に縦書きで『三ツ谷新聞』と
「仕事が早いですね。昼休み中に貼ったのでしょうか」
「恐らくな。だが、おかしくないかい?」
何が、とは思わなかった。今朝、佐倉さんと話した内容が思い返される。
「社会奉仕部が
「ああ。明言こそしていなかったが、佐倉さんは校内新聞の第一号に社会奉仕部が掲載されると思わせる口ぶりをしていた」
「第二号と勘違いしていただけではないでしょうか。佐倉さんは写真を提供しただけで、新聞部ではありませんから」
「そうならいいんだが」
遠野さんは納得いかない様子で、しかし食い下がる気配もなく、部室がある
社会奉仕部の部室にノックが飛び込んだ。部室に入って数分と経たないうちのことだ。遠野さんが過去の活動日誌を棚の中に収納し、来訪者に応じる。
「佐倉さんか」
その名を聞き、俺の意識もパソコンのモニターから入り口へと向けられた。胸騒ぎがする。校内新聞に
「ごめん! 写真無くなっちゃったから、もう一回撮らせて!」
両手を合わせ、佐倉さんが
「言葉どおりの意味ではないでしょうか」
俺が水を向けると、佐倉さんは足元に視線を
「パソコンにデータをコピーしたと思ったんだけど、うまくできてなかったみたいでさ」
「
「そっちは……残ってる。だけど、あれはお手本を見せてくれただけで、写真は一年生が撮ったものを使うのが習わしなんだよ。本当にごめん!」
「先輩はご一緒ではないのですね」
「先輩は忙しくて。今日は他の子と一緒に写真を撮りに行ってるの。先輩いないと不安だよね。本当にごめん!」
佐倉さんが謝罪を繰り返す。その表情には後ろ暗い感情が
遠野さんは肩を
「無くしちまったもんはしょうがない。紹介してもらう立場だし、文句はないさ。撮るなら
「そのことなんだけど、さっき呼んでみたら、忙しくて時間がとれないって。だから、二人だけで撮っていい?」
「先生も社会奉仕部の一員だ。
傷付くような人でもないと思うけれど。これは新入部員の紹介がメインだし。
奇遇にも佐倉さんも同意見だったようだ。俺と同じ考えを口にし、
「もし先生が不服そうにしていたら、あとで合成しておくよ」
と締めくくった。
合成のほうが可哀想じゃない?
遠野さんが
「ありがとう! 今度こそ無くならないようにするね!」
と言って、部室を去っていった。
二人きりになると、遠野さんは俺の方に顔を向けた。小首を傾げ、腕組みする。
「
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