第6話 地獄と天国ですわ〜!
今度はシーリスさんが働いている町外れの鍛冶屋さんにきましたわ。
次の町に行く前にシーリスさんの所で新しい剣を買っていかないといけませんからね。
「こんにちは〜!」
「ふぁぁぁい。今親方いないので、ちょっと待ってくださぁぁい」
店の入り口で声をかけると間延びした声が聞こええます。作業中かしら?
しばらく待っているとパタパタと足音と一緒にピンク色の髪をポニーテールに纏めたシーリスさんの姿が見えました。
んん? 汗で髪やシャツが肌に貼り付いててなんていうか……こう……ずるいっ! ってなりますわね。歳は私の一個上なのにその大きさはなんなのかしら!?
「いらっしゃませ。何をご希望ですかぁ?」
「こんにちわ、シーリスさん。少し長めの剣を一振りいただけませんか?」
「あれれ? 会ったことありましたっけ?」
「いえ、シーリスさんが冒険者やってた時に何度か見かけてたんですわ。私はフラムっていいます。よろしくお願いしますね」
「フラムさんですね。こちらこそよろしくお願いします。って、見てたんですね、あはは、恥ずかしいです。ろくに回復も出来ない、硬いだけのヒーラーだったのに。あ、それで剣なんですけど、全部売れちゃってて今無いんですよ。あいにく材料も切らしてまして」
あの硬さは素晴らしいのに……。
「あの、材料があれば作れますか?」
「はいっ。 材料さえあれば! 親方もしばらくいないので」
「でしたら……」
ゴトン
私は家から持ち出してきた鉱石を袋から出してシーリスさんの目の前にドン! お父さんの研究室にあったのを拝借してきましたわ!
「これでお願いできますか?」
「こ、ここここここここっ」
キツツキの真似かしら?
「ここここれっ! オリハルコンとハイミスリルじゃないですかっ! これをどこで!?」
なんですのそれ? そんなに凄い物なの? 黙って持ってきたからここからバレるのはまずいかしら……。
「えっと、拾いましたわ。山で」
「山っ!? 落ちてるもんなんですか!?」
「はい、コロンっと落ちてましたの」
「コロンって……。はぁ、普通は落ちてるはずないんですけどねぇ。(……いや、でも、こんなチャンスは滅多に無いと思うし、親方も今はいないし……)」
何かゴニョゴニョ言ってるますけど、聞こえてますわよ? チャンスなんですよね? ねぇねぇ、もう作っちゃっていいんじゃないですか? ほらほら。
「……うん、決めました! 打たせてください!」
おっしゃっ!
「どのくらいで出来そうですの?」
「そうですねぇ……あっ、なんなら見ていきますか? ちょっと試したいこともありまして、成功すればすぐにでも渡せるかもしれません」
「ぜひお願い致しますわ!」
ちょっと制作工程に興味あったんですよね。楽しみですわ〜♪
オリハルコンとハイミスリルを持ってウキウキしたシーリスさんに案内されて、作業場に入っていきます。部屋を見回すと中央には大きな窯。壁の棚にはハンマー等が綺麗に並べられていますの。
ほぇ〜〜。こういう道具を使ってますのね。
「フラムさん。こちらに座って見てて下さいね」
「はい」
言われた通りに作業場の隅にある椅子に座ってシーリスさんを見る。
わくわく♪
「では始めますね」
シーリスさんが大きく息を吸った。
「──我が左手に地獄の獄炎を『インフェルノブレイズ』──我が右手には永遠の孤独を『コキュートスプリズン』」
……ん?
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