第7話 剣のゲットですわ〜!

 シーリスさんが呪文みたい言葉を呟くと、左手は凄まじい熱を放つ炎に包まれ、右手はすべてを凍らせてしまいそうな冷気を放ち始めました。

 その状態のままオリハルコンとハイミスリルを手に持つと、二つをゆっくりと近づけ始めます。

 すると、近付くにつれて幾つもの小さな爆発が起こり、その衝撃で私とシーリスさんの髪が暴れ出しましたの。


「はぁぁぁ! はぁぁぁぁぁぁっ!!!」


 そして掛け声と共に二つの鉱石は粘土の様に柔らかくなり、混ざり合いながら一つの塊になっていき、やがて完全に融合した時、シーリスさんがすぐそばに置いていたハンマーを手に持ちましたの。


「今っ! シーリスハンマァァァァァッ!!」


 ガギィィィィィン!


 一度音が響くと、その音が消える前に次の音、そして更に次の音……と、凄まじい早さでシーリスさんのハンマーが何度も何度も出来立ての鉱石にむかって振り下ろされますの。

 その度に少しずつを変化して、だんだんと剣の形になっていくのに驚きが隠せませんわ。一番はその声にですけれども。


 そして、シーリスさんが大きく息を吸うと、一際大きく腕を振り上げましたわ!


つるぎに……なれぇぇぇぇぇぇ!!!」


 キィィィィィィィィィンッ!


 一際大きな甲高い音と共に風圧でホコリが舞いましたわ。ゴホッゴホッ。

 ホコリがおさまり、視線を戻すとそこには……


「フラムさんお待たせしました。完成です」


 私の身長ほどの長さで、白く美しい長剣がペカーっと光り輝いていました。


「すごく綺麗ですわ……」

「どうぞ? 持ってみて下さい」


 言われたままに受けとると、驚く程に軽い! 軽いですわ〜! いくらでも疲れ知らずで振れそう! これならハエたたきにも使えそうなくらいに軽いですわ!


「ホントにありがとうございます! お代はいくらになりますの?」

「いえ、今日のお代はいいですよー。珍しい上に素晴らしい貴重な素材を使わせて貰って試したい事の練習にもなりましたし」

「そうですか……。じゃあ、何かあったらいつでも言ってくださいませ!」



 店を出て歩きながら考えます。それにしても……剣の打ち方って私が思ってた方法とは違いますのね。勉強不足ですわ〜。



 ━━あら?

 お父様が玄関に立ってますわね。なんでしょう?

 よくわからないけれども部屋にある荷物持ったら冒険には今日出たほうがよろしいわね。


「ただいま帰りました。お父様どうしたの?」

「おかえりフラム。あのね、僕の研究室にあった二つの鉱石知らないかな? 気絶から目を覚ましたら無くなってたんだ」

「え? 知りませんわ」

「そうかぁ……どこいったのかなぁ……」

「おじい様かも知れませんわね? 私、部屋に行ってきますわ。荷物持ったらすぐ出発しますので」

「え? 早くないかい?」

「そんな事ないですわ。それに隣の村ですから今出れば今日中には着きますし。それでわ」

「待った。……その背中の剣は一体どうしたんだい?」

「これは、鍛冶屋にいる友達から餞別でもらったのですわ。いい剣でしょう?」

「そうか。フラムはいい友達をもったね」

「えぇ。それはとても」








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成り上がり追放勇者を探すお嬢様の追っかけ無双冒険譚 あゆう @kujiayuu

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