第4話 一大決心ですわ〜!
ここは私の家のリビングですの。何もありませんわ。ほんっと〜に何もありませんの。絨毯や壁掛けに剥製なんてものもありませんわ。椅子とテーブルだけですわ。だって普通の家ですもの。
そしてテーブルの傍らに立っている私の目の前には、おばあ様とお母様とお父様がいますわ。おじい様はなんでも最近ずっと炭小屋に籠ってるらしくて、滅多に姿を見ませんわね。究極の炭が出来そうとか言ってましたから、しばらくは出てこないのでしょう。ご飯も近くのモンスター狩って食べてるみたいですし。
まぁいいですわ。さぁて……
「みなさん! 私、フラムは一大決心をしましたわ!」
「おや? フラムどうしたんだい?」
「ほらフラム。ご飯中なんだから座りなさい」
「朝早くから一体どうしたんだい? 僕、昨夜は遅くまで書き物してたから、少し眠いんだけど」
まともに聞いてくれてるのがおばあ様だけの件について家族会議を開きたい気分ですわ……。
ちなみに、私の髪と瞳の色はおばあちゃん譲り。家族で銀髪紅眼なのは、私とおばあ様だけなのです。おじい様とお父様とお母様は黒髪灰眼。こっちは割りと見る色だそうで。
「私、町を出ようと思いますの!」
「おや、それはまたどうしてだい?」
「夢がありましてよ! それはきっといろんな所(ギルド)に行かなきゃ叶わないのですわ!」
「夢があるのはいいことだねぇ。フラムならきっと叶えられるよ」
「おばあ様ぁ〜!!」
やっぱりおばあ様はわかってくれますのね!
後はお母様とお父様なんですが……
「アタシは別にいいけど、お父さん次第かな? アナタ、どう? 」
「…………」
「お、お父さん?」
返事がありませんわね。ただの……
「ちゃんと起きてるからね?」
「良かったですわ。てっきり寝てるかと」
「まさか。今、考えてたんだ」
「それで……どうでしょうか?」
「そうだね。とりあえず、朝食を食べたら庭に出ようか」
庭に? なんでしょう?
そして今は、みんなで庭に。
お母様とおばあ様はすぐ側の椅子に腰かけていて、私とお父様は数歩分の距離を開けて向かい合って立っております。
「フラム、久しぶりに僕と手合わせしようか」
「お父様……」
……やっぱり。
確か、おばあ様が読んでくれた本にもこんな状況ありましたわね。
ですけどそういうのって、追放された冒険者が色んな所を旅をして自分の限界に行き詰まった時に出会った強者にボロボロに負けてそこからの弟子入りして修行して仲間のピンチに気付いて師匠の家から飛び出そうとするときに師匠に止められてそこで成長の証を見せるためになんやかんや……(早口)
「おーい、フラム? 聞こえてるかい?」
……はっ! いけないいけない。
「聞こえていますわ。手合わせですよね?」
「そうだよ。フラムはまだFランクだから心配でね。僕に一撃でも入れられたら旅に出るのを許可するよ」
そう良いながらも、いつも通りにニコニコするお父様。
お父様に一撃。最後に手合わせしたのは確か、八歳の時でしたわよね? あの時は手も足も出なかったのを今でも覚えていますわ。本気でいくしかないようですわね。
「それでは……いきますっ!」
私は掛け声と同時に地面が凹むほどに右足を踏み込みます。
その一歩で一気にお父様の目の前まで行くと同時に、左足をお父様の足の間に。これで間合いは無くなりましたの。
今の私では秒間にせいぜい八十発が限界です。それを一気に叩き込みますわぁ〜! おりゃあですわっ!
「グッハァァァァァ……ハァ……ハァ……ハァ……(エコー)」
……あらら? あらららら?
面白い!続きが気になる!っておもって頂けましたら、⭐で評価、応援等よろしくおねがいします!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます