第110話 王の能力②
「身体もほぐれてきたし、そろそろ俺も本気を出すとするかね」
パチン──!
右の手首に装備していた不可視のアイテムを外す。それは、以前まで使っていたものを更に強力にした呪いのアイテムだった。
ド────!!!!
ブレスレットを外すと衝撃波が広がり砂塵を巻き上げる。迫り来る敵も思わず動きを止めた。
強力なデバフから解放された俺の力が、具現化された【王威】となって敵を襲う。漆黒の稲妻と血塗られた金色の火焔が吹き荒れた。
「くっ!! なんだこれは!?」
「貴様、一体何をしたっ!?」
「誇りに思え。俺が真の
◇◇◇
名 前 凡野蓮人
称 号 鬼神・荒神の王・狂戦神・統一王・覇王・神龍殺し・魔人殺し・妖精の王・巨人の王・獣人の王・武を極めし者・魔を極めし者
年 齢 14
L v 7,500
◆能力値
H P 66,453,750/66,453,750
M P 77,400,000/77,400,000
スタミナ 49,855,500/49,855,500
攻撃力 33,405,000
防御力 53,625,000
素早さ 116,250,000
魔法攻撃力 118,518,750
魔法防御力 125,775,000
肉体異常耐性 103,372,500
精神異常耐性 87,507,000
◆根源値
生命力 7,383,750
持久力 8,309,250
筋 力 3,930,000
機動力 9,300,000
耐久力 5,362,500
精神力 8,334,000
魔 力 9,675,000
◆固有スキル
【王威Lv.110】
◆スキル
【鑑定Lv.500】【パーフェクトボディコントロールLv.350】【
【変化Lv.150】【伝心Lv.150】【隠形Lv.150】
◆戦技
【徒手格闘術Lv.350】【暗殺術Lv.350】【ダガー術Lv.350】【特殊ナイフ術Lv.350】【短剣術Lv.350】【剣術Lv.350】【特殊剣術Lv.350】【短槍術Lv.350】【槍術Lv.350】【特殊槍術Lv.350】【盾術Lv.350】【大盾術Lv.350】【杖術Lv.350】【棒術Lv.350】【
◆魔法
【炎魔法術式Lv.500】【水魔法術式Lv. 500】【氷魔法術式Lv. 500】【風魔法術式Lv. 500】【雷魔法術式Lv. 500】【草木魔法術式Lv. 500】【土魔法術式Lv. 500】【身体魔法術式Lv. 500】【精神魔法術式Lv. 500】【空間魔法術式Lv. 500】【創作魔法術式Lv. 500】
◇◇◇
「こいつぁ、トンズラが吉だ──!!」
一目散にアカビシが逃げ出す。
「もう逃がさんぞ」
【魔力粘糸】をくっ付けてクイッと引っ張った。
「グヒ!? い、糸? うわぁぁ!!!!」
手足を飛散させながらこっちに飛んできたアカビシの腹にデコピンを喰らわせる。奴は弾け飛んで消滅し、さらにデコピンの衝撃波が周囲の敵を薙ぎ倒した。
「【身体強化】、【
補助効果スキルを同時発動させる。
「まとめて相手になろう」
「くっ!! 調子に乗るなよ!!」
「数多の惑星を堕として来た我らが、その程度で後れを取ると思うな!!」
「数の暴力で捻じ伏せてやる!! かかれっ!!」
襲い来る敵を、俺は真正面から迎え撃った。
「【致命の一撃】!!」
バシュン!!
殴った直線状の敵が消し飛び、その近くにいた敵も巻き添えを喰らって砕け散る。
「でもって、【
ドシュシュン!!
一拳百殺、周囲の敵を巻き込みながら撃破していく。
十万近くいた敵の数が半数以下になるのに三分とかからなかった。こうして無数の敵を片っ端から粉砕しつつ、俺は次々とエリアを侵攻していった。
ト──
そそり立つ断崖を越えて頂上に降り立つ。真っ白な台地がどこまでも続いており、表面には薄く水が張っている。ウユニ塩湖のような絶景が、どこまでも広がっていた。
「このエリアを越えたら、ゴールか」
「ま、待て……!」
振り返るとボロボロのガマシロモが這うように崖を登ってきた。
「生きていたか」
「地球の王ヴァレタス、お前は一体何者なのだ?」
荒い息づかいで足を引き摺りながら近づいてくる。
「【魔法】と呼ばれる未知の技術体系、地球の歴史から考えてあり得ない力……。本当にお前はこの星の生き物なのか、ガハッ!? ゴホッ!?」
口から黒い血液を吐き出しながら、ガマシロモが咳き込む。
「王よ、聞かせてくれ。お前のその力の源泉は、いったいどこにある!?」
「……」
俺は周囲を見渡す。
「安心しろ、偵察機は今ここにはいない。あの激しい戦闘で多くが破壊されたからな……」
疲れたように笑う。
「俺とお前、二人だけだ」
「そうらしいな」
俺もそれを確認すると、ガマシロモと向き直った。躊躇したが、俺は真実を語った。
「俺の力は、異世界グラン・ヴァルデンで得たものだ」
「異世界……?」
「この星で俺は一度死に、異世界に転生した。そして再び、
「別の銀河系に、
言葉を惑わせながら、ガマシロモが聞き返す。俺は首を横に振った。
「俺が転生した世界がこの宇宙のどこかにある別の惑星なのか、それとも別次元の宇宙なのかはわからない」
「……」
「或いは宇宙という俺たちの尺度では測れない、全く別の概念を持つ世界だったのかもしれない」
「宇宙とは違う、世界……?」
「どちらにせよ、俺の強さの源は異世界グラン・ヴァルデンの機構によるものだ」
「信じられないことではあるが──」
そこまで聞くと、ガマシロモは理解したようにうなずいた。深く溜息を漏らす。
「これで納得がいった。ガハッ──!!」
ゆっくりと顔を上げる。その顔には悲壮感を伴う覚悟のようなものが漂っていた。
「そして、これでハッキリとした! やはりお前は俺たちが倒してきたどの王よりも、危険だ……!!」
「ならば、降伏して家に帰るか? それなら俺は止めはしないが」
「いいや、こうするのさ!!」
バッ──!!
ガマシロモが腕を横に振る。
ゴォオォオォォオオ……!!!!
ステルス機能が解除され、四基の宇宙要塞が姿を見せた。エヌピシがいた一番大きな要塞以外がすべて集結している。
「王の戦いが決する前にその星の民を害する行為はメギドラ族の軍規に反するものだ。第一、俺自身の矜持に掛けても、今までそんなことをしたことはない」
ガマシロモが俺を指差す。
「だが、お前を我が王と戦わせるわけには、いかない……!! エヌピシ様を守るためならば、俺は喜んでメギドラ族の誇りも、戦士としての美学も捨て去ろう!!」
要塞の船首部分が形状変化していく。螺旋を描くように伸びると、ドリル状に変形した。どす黒く発光をはじめる。
「
「せいじゅう……?」
「星の獣──星獣。巨大な単一生命体で、本当に惑星ほどのサイズがありる。まさに生きた惑星だ」
「そんなものが存在するのか」
「信じられないだろ? 宇宙は広いんだ」
生きた惑星か。そいつはちょっとワクワクするな……。
「そんな星獣がうじゃうじゃいる銀河に迷い込み、俺たちメギドラ族ははじめて絶滅の危機に瀕した。王との戦いではなく、知性の欠片もない野蛮で獰猛な獣に多くの仲間が殺された」
ガマシロモは息絶え絶えに喋っている。あまり時間は残されていない様子だ。
「だから我々は造った。あれは人工的にブラックホールを発生させる、対星獣用の最終兵器だ! 一発放つだけで星獣数体を駆逐できる。それを四基同時に発射すればどうなるか……わかるな?」
確かに、俺だけでなく地球自体もただでは済まないだろう。
「偉大なる王ヴァレタス、突然変異の怪物よ!! 母星と共に消え去るが良い!! 超重力レーザー砲ハルメギド、発射ッッ!!!!」
ギュォォォォォ────!!!!!!
四基から放たれたレーザー砲が俺の身体一点に集中する。次元が歪み、光も物質もエネルギーもすべてが渦を巻きながら俺に吸い寄せられていく。圧倒的な重力に、俺は圧し潰されていった。
「王よ、お赦しください」
ガマシロモの身体もストロー状に引き伸ばされ、捻じ切れながら焼失する。
轟音を響かせながら、浮遊大陸に亀裂が生じはじめた。瓦礫の山が次々とブラックホールへ呑み込まれていく。
その影響はどんどん広範囲に及んでいった。周囲の気流は激しく逆巻き、雲が呑み込まれはじめる。遥か100キロ下の地表でも激しく海が波立ち、いくつもの海上竜巻が発生していた。
「すまないな、ガマシロモ。だが俺は護りたい人たちを、今度こそ失わないために現実世界へと帰還したのだ。どんな相手であろうとどんなに圧倒的な力であろうと、そのすべてを捻じ伏せ絶対的な存在になるために!!」
ゴゴゴゴゴォォ────!!!!
ッ。
フゥ──……。
一瞬にして轟音が掻き消えた。静寂が世界を包む。
そこにあるのは綺羅と輝きを放つ人型だけだった。俺の身体が、まるで無数の鏡が貼り付いているように光を放っている。
「俺が、この星の王だ」
【
あらゆる物理攻撃、魔法攻撃、スキルを吸収し無効化、まったく同じ効果を相手に反射する。その許容量には限界があるが、レベルが上がるごとにその許容量も拡充される。
「返すぞ」
超重力レーザー砲と同じ効果を四基の要塞に跳ね返した。
「っと。これ以上、地球に影響が出ては困るかならな。【
特殊空間の中へと、要塞を閉じ込めた。
空間の中で、要塞は圧倒的な質量によって引き伸ばされながら圧し潰されていった。目に見えない程の極小の点にまで圧縮される。俺が作った空間さえも引き摺りこもうとする圧倒的な重力である。
「やれやれ、産業廃棄物ってのは処理に困る」
残ったのは四つの超重力爆弾だった。これをここで解放するわけにはいかない。俺は特殊空間をそのまま【アイテムボックス】へと収納した。
眼下を見下ろすと、竜巻も消え大気も元に戻っていた。被害は出ていないようだ。
八割近くが崩壊した浮遊大陸の残骸も宙を漂っている。
「取りあえず放置してても大丈夫そうだな」
ゴールに向き直ると、俺は最終エリアへと進んでいった。
「残すは、エヌピシ。お前だけだ……!」
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