第一章 案外キスあるんじゃないっすか!?

(あーなんだろ。まじ好きだわー。)

黒い髪につぶらな目、まじすべてがタイプ。

というのも、全て朝に会った彼女のことである。


「土岐くん、さっきから気持ち悪い顔してるよ。」

前から爽やかそうな声がかかる。正体は、ただの前にいるやつ。

なんで初対面でいきなり名前覚えてんだ?気持ちわりぃ...

「お前さぁ、優しさというものはないの?

 気持ち悪い顔っていうのはなぁ、隠したくても隠し切れない、そういうものなんだよ。(キリッ)」

「なんでそんなカッコいいようにいうの?まーいいや。どーせどうでもいい話なんでしょ?」

そういって前を向くのは、たしか、瓜谷だったか。名前覚えづれぇ...

「恋だ」

「よし聞こう」

単純すぎんだろお前。即答しやがった。




「でさーその女の人がマジ可愛くて。じいちゃんの墓参りに行ってよかったことなんてなかったけど、やっぱりいいことってあんだな?」

「ほぉ...気になりますねぇ...」

そう訳もなく初対面で恋バナをしている時だった。

何かが上から落ちてくる。

「ブフォォ!?」

上に乗ってるのは...

「臼か...」

「はぁ!?だれが臼じゃおらぁ。」

聞き覚えのある声。朝に聞いたあの声。その上に乗っているのは、紛れもなく一目ぼれしたあの女性だった。

「えぇ....!?なんで学校に着いちゃったのぉ?」

「知りませんよ...」

「とゆーかお前さっきなんて言った?」

「とりあえずのいてくださいよ...」

そいつは俺の背中からジャンプし、教室から飛び出していった。

「じゃーなー!1」


「ねぇ土岐くん、さっきの子が言ってた人?」

「あー、うん。」

「...やばいね。」

とりあえずクラスのみんなには引かれた。


「お前やっぱ恋愛サイキョ―じゃない!?」

一人の例外、前の席のだるい奴、瓜谷を除いて。

「瞬間移動カー。案外キスあるんじゃないっすか!?」

(もうお前黙ってろ。)

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