好きな子がワープしてくるようになった。

@parts

エピローグ 好きな子がワープしてくるようになった。

桜の舞う4月にかけてく3月に。

「皆はもう学校にいるのかなぁ。」


高校1年生となった今、俺は”墓参り”に来ていた。

「じいちゃん、行ってくるよ」

石段にラッパスイセンを置き、その場を去ろうとしたとき、後ろから声が響く。

「きれいな花ですね。」

「え...?」

その人は女性だった。背丈は自分より少し小さいくらいだろうか。

長い黒髪に瑠璃色の目をした、女子高生だった。

「あ、すいません急に。きれいなスイセンだったので。」

胸元にある制服のマークを見る限り、どうやら同じ高校のようであった。

「ちょっと、どこ見て...」

「もしかして、館山高校の生徒です?」

一瞬何か言われそうになったのを押し倒して言葉をかける。

「え、はい...」

「じゃあ同じ高校ですね。今年から行くんでよろしくお願いします。」

ニッっと笑ってその場を去る。


「あのっ」

後ろから声がする。

「私、貴方と同じ高1!多分!」

そっか...最高じゃん...

桜舞い落ちるその空間で俺はこう思った...

(可愛よ....!なんなんあの子...!神様俺を殺す気か!?)


「でさ、」

「...?はい。」

その時彼女に言われたことを忘れることはない。



「学校一緒にサボろぉよ!!」



「...はぁ!?

 今日から始業式ですよ?さすがに...」


後ろを振り返るとそこには誰もいなかった。

「は...?」

(そーかそーか、ただの俺の妄想か。ハッハー、なんて妄想だ!ったく。)



「あの...」

前にはその子がいた。

え...?

「私、ついさっきまで後ろにいましたよね...?」



好きな人が、入学式初日に一目ぼれした同級生は、ワープできるようだ。







「私は学校サボるからね...?同級生とデートするチャンスだよぉ?」

「いや行きましょうよ...」



結局そいつは学校にはこなか...いや、来たな。

1時間目すら始まる前にそいつは学校にいた。

教室でボーっとしてたらいきなり上から落ちてきた。


「えぇ....!?なんで学校に着いちゃったのぉ?」

「知りませんよ...」


クラスがざわめきだす。

好きな子がワープしてくるようになった。

しかも俺の近くに。




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