第4話 ウミウシという種族は、捉えどころがない生き物?


★「おしゃれ」「お母さん」→おしゃれ金平糖ウミウシ

★「いちご」→船形の石珊瑚に住む苺ジャムウミウシ

★「兄」→マンモス白珊瑚の森に住む青い大きめの魚

★「妹」→マンモス白珊瑚の森に住むオレンジ色の小さな魚



15秒でエイの毒は、「いちご」が体に感じたことを忘れることにより、

体内の無数の細胞までが、毒のことを忘れていく。

すると、細胞に浄化作用が起こり、毒ははじめからなかったように、消えていく。

そのような経緯を経て、「いちご」の細胞は、生まれたてほやほやの活力のあるものとして、生まれ変わるのである。


「そりゃ痛かったわよ。エイの毒は。さすがのわたしも、もうごめんだわ」


「いちご」は、なんとなく、どこが顔なのか見分けがつかない触角の下の、

赤らんでノッペリとした海綿をヌッと持ち上げて、二匹を交互に見た。


「兄」は、「いちご」のそんな様子を目の当たりにすると、「お母さん」もそうなんだけど、ウミウシという種族は、なんとまあ、捉えどころのない生き物なんだろうと思わずにはいられなかった。


他の周りの生き物たちからは、のんびりとして、さぞ気楽そうに映っていることだろう。


「兄」でもいつもはそう見える。


でも時々、四六時中自分が自分でいることに満足していて、

幸せいっぱいに暮らしているはずの「お母さん」や「いちご」さんをはじめとしたウミウシたちが、実は僕ら海の生き物たちとは違った、何か得体の知れない生き物なのではないだろうか? と思う時がある。



〈続く〉

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