閑話 ガイアの最後




「ガイア様…今迄ありがとう」


「ティファー、頼むから死なないでくれ…」


折角…身請けしたエルフのティファーが…もうじき死んでしまう。


「なぁ、どうにかならないのか?」


「元とはいえ勇者様なので、最高のヒーラーを用意したのですが…流石に老衰では無理です…お諦め下さい」


「そんな…頼むから死なないでくれ…なぁ頼むよ」


「ごめんなさい…貴方が死ぬまでは生きてあげたかった…これでもエルフだから、その位は大丈夫だと思ったの…だけど…許して…」


「ティファーー――っ」


「ご臨終です」


ティファーの年齢は800歳を超えていた…だがエルフの寿命は1000年近く生きると考えたら…あと200年近く生きられる、当人も、周りの人間もそう思っていたらしい…


だが…人間の人生が50年だとして…40歳を超えたらもう高齢だ。

※ この世界の人族の平均寿命は50年です。


そう考えたら、いつ無くなってもおかしくはない高齢だった。


ただ、その単位が人族と異なっていた為に『まだ大丈夫』そう思っていた…そう言うことだ。


あはははっ…俺は馬鹿だ…


勇者の地位も無くし…プライドを捨て借金をし…その借金をしているという事実が嫌で…幼馴染で将来は側室になる予定だった二人を地獄に落として…そこまでして手に入れた彼女は居ない…


『もう、何も無いな…』


生きていても仕方ない…


そうだ…


生きていても仕方が無い…死のう。


俺は…聖剣を抜いた…光輝かない…


俺みたいな奴とお前も一緒に居たくは無いよな…


俺は輝かない聖剣を首にあて…そのまま引いた。




『俺は馬鹿だった』



勇者だった男が全てを失った瞬間だった。



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