第12話  旅立ち 本編完結


第12話 旅立ち


「おかえりなさい、リヒト早かったですわね」


「まあな、少しでも早くマリアに会いたかったからな…愛しているよ」


そうマリアに伝えて抱きしめた。


「どうかしましたの?」


「うん俺はマリアが好きだ…本当に愛している」


「それは私もですわ」


確かに『今のマリアはそうだ』


だが、今後は解らない。


俺はこれから、マリアにある事をする。


その後でマリアが俺を捨てるなら…悲しいけど…仕方ない。


俺は、マリアを口説く時間を貰った…それだけだ。


「マリア…ちょっと冷たいけど我慢して、多分傷に効くと思うから」


「解りましたわ…服や下着は脱いだ方が良いですわよね」


「ああっ…その方がいいな」


「解りましたわ…明るい場所だと焼けただれていて気持ち悪いですわね…それでも薬を塗ってくれるなんてリヒトは本当に優しいですわね」


「目を瞑ってくれるかな」


「解りましたわ」


裸になりマリアは目を瞑った。


俺は教会で貰った薬をマリアの頭からまんべんなく掛けていった。


貰える可能性は4割も無かった。


この世界に12本しかない秘薬中の秘薬。


死んでなければ全てを治すという最高の薬。


『エリクサール』


マリアの体が光り輝き焼けただれた皮膚が剥がれ落ち元の綺麗な肌になった。


毛髪も元の綺麗な髪にしっかりと生えてきた。


『うん、元の美少女のマリアだ』


「マリア…終わったよ!」


「終わったのですわね…少しは良くなり…?」


「はい」


俺はマリアに手鏡を渡した。


「うそ…治っていますわ…何もかも元通りですわ」


「良かったねマリア…これで俺が居なくても大丈夫だね」


マリアは元に戻った。


これで俺が居なくてもマリアは生活が出来る。


俺を捨てる…そう言う選択が可能だ。


「リヒト…? 何を言いますの?」


「マリアは元通り綺麗になったから、自由に生きれるよ…もう自由にして…」


「ふざけんなー-っふざけんなー-っですわー-っ」


マリアが殴ってきた。


「痛い..痛いってマリアー-っ痛い」


「愛しているって言いましたよね? そして私も愛しているって答えましたわ…なのに、その約束を反故にしようとしてますのー-っ、大体リヒトは焼け爛れた私ですら『愛したのですわね』今の私ならその百倍は愛してくれますわよね? 破瓜の痛みは我慢しましたが凄く痛かったのですわよ…そこ迄させて置いて、その言いぐさは許せませんわー-っ」


今度は噛みつかれた。


「痛いっ、痛いっ痛いよマリア」


「ならもう馬鹿な事は言わない事ですわ、ハァハァ約束しましたわよ『私もうきっとリヒトから離れませんわよ…裏切ったら殺しますわよ』って『私は生涯リヒトの傍から離れませんわ』とも言いましたわ…次馬鹿な事言ったら…リヒトを殺して私も死にますわよ」


「もう言わないよ…でも、もう死ぬまで離さないからな知らないぞ」


「馬鹿ですわね…そこは死んでも離さないですわ!」


「そうだな…ゴメン」


「解れば良いのですわ…それじゃこれから頑張りますわね」


そう言いながらマリアは抱き着いてきた。


駄目だ、綺麗になったマリア相手だと顔が赤くなる。


「あの…マリア?」


「あの状態の私でも愛してくれて、あんな事したのですから…今の私なら10倍、いえ100倍愛して下さいますわよね? リヒト」


「あの…気のせいか性格が変わった気が…」


「これが本当の私ですわ…嫌いになりましたか…」


少し目が潤んでいる。


「いや…本当に100倍好きになったよ」


「嬉しいですわ、それじゃ」


気がつくと俺たちは夕方までお互いに体を貪っていた。


そのまま、宿を引き払って外に出た。


「これからどうしますの?」


「そうだな、南の方に向かって旅に出ないか? 気に入った場所が見つかったらそこに定住しても良いんじゃないかな? 農業しても片田舎で冒険者してもいんじゃないか?」


「そうですわね、魔族領は北ですから南に向かえば向かう程安全ですわね…ですが魔王討伐に参加しなくて大丈夫なのですの…」


「ああっ、ガイアが追放した…そう届けを書かせたから問題ないんじゃないか」


「そうですわね、もうガイア達が勝とうと負けようと関係ありませんし…負けた所で…そうそう人類が滅びる訳じゃありませんから遠くに行ってしまえば…問題ありませんわね」


俺とマリアは手を繋ぎ街から去っていった。


                     FIN


※本編終了  閑話を数話書く予定です。





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