第10話 マリア オンリーヒロイン
俺はガイアにマリアの状態について話をしに来た。
三人はガイアの部屋に集まって何やら話をしていた。
「それでマリアの状態はどうなんだ?」
「さっき見た通りだよ…命は別状ないが、あの容姿はどうにも出来ない…それとな、凄く三人を恨んでいたよ…擦り付けしたんだってなぁ…かなり恨んでいるぞ」
「ああっ否定はしない…認める!」
「謝って許して貰えない事をした…今思えば怖かったとはいえ最低だ」
「私…ごめんなさい」
「マリアはな俺が見つけた時にはドラゴンビィでなくスライムの亜種に体を溶かされ掛かっていたんだ、恐らくドラゴンビィの攻撃を受け動けない状態で襲われたんだと思う…そしてあの容姿になった」
「ああっ…そうか…」
「だけど…言い訳は出来ないな」
「謝る事しか出来ないよ」
「マリアには悪いけど気にするな…戦っていればこんな事もある。だがな、あの状況で恨むななんてマリアには言えない、今回の件は俺を含んで皆がそれぞれ悪い…謝っても無駄だろう? なぁもしマリアと同じ状況に置かれたら、エルザにリタ、そしてガイアは許せるのか?」
「「「…」」」
「許せないだろう? だったらもうやる事は決まっている…パーティ追放しかない」
「ちょっと待て…それじゃ俺は擦り付けをした上にパーティ追放した事になる」
「不味いだろう…そんな酷い事」
「最低な事をした事になるよ…」
馬鹿じゃ無いのか?
最初に擦り付けをした時点でもう、仲良しこよしは終わりだ。
やった方は簡単に考えるが…やられた方は一生その恨みは忘れない。
「良く考えろ、マリアは三人を殺したい位恨んでいるんだ、マリアそのまま手元において置いたら…絶対に足を引っ張るぞ…もし教会で三人が擦り付けた事を言われたら…ガイアは勇者だから大丈夫かも知れないがエルザとリタはなんだかの罰があるかも知れない」
「確かにそうだ」
「だから、先に報告が必要だ…ガイア、明日にでも教会にマリアの解任届けを出した方が良いぞ」
「解った」
「理由は…そうだな4人の連携が取れないからと、今回の件は触れない方が良いだろう、エルザもリタも署名した方が効果的だ」
「本当にそうしないと駄目か?」
「不味いんじゃないかな?」
「だが、そうしないとガイアは兎も角二人はヤバいぞ、教皇様は勇者の次に聖女と序列を決めているのは知っているだろう? 」
「そうだな…ガイア、頼むからそうしてくれないか」
「お願い…」
「仕方ないな…俺もあんな化け物と一緒に居るのは嫌だ…だが纏わりついてきたらどうするんだ?」
「それなら大丈夫だ! 俺が引き取るよ…幼馴染だからな…ただこれまで通りだと不味いから、俺がブラックウイングのサブパーティを作るからそちらに移籍という形をとる」
「リヒト…良いのか? あの化け物と二人で…」
「本当にひきとるのか…」
「あの、大丈夫なの」
ガイアも結構酷いな…少なくとも三人の中で一番好きなのはマリアだった筈だ。
「ああっ構わないよ…俺幼馴染が凄く大切だからな…前に言っただろう『命以上』とな…今回はマリアがこうなったから引き取った…だが、同じ状況にエルザがリタがなっても同じ様に引き取ったさ…まぁガイアは男だからどうするか解らないが」
「なら良い、すぐに書類は書くから、朝一番で教会にお前が出してくれ」
「了解…暫くは看病があるからそっちの世話は出来ない…暫くは我慢して欲しい」
「それは仕方ないな」
「「解ったよ」」
「それじゃ、ガイア…少し夜風にあたるか?」
「そうだな」
多分、今後の相談をするんだ…そう思ったのか…二人は黙って見送ってくれた。
◆◆◆
「それでなガイア…看病があるし顔を合わせて揉めるといけないから俺とマリアは別の宿に移動しようと思う」
「それは構わないが…あのな」
「予約ならしてあるよ…『フォーレスト』というお店だ、コースはオールナイトコースで朝まで遊べる、代金の金貨1枚と銀貨2枚…ほらよ」
「ああっ済まないな」
「良いって事よ…場所解らないだろう? 店の前まで送っていくよ」
「ありがとな」
俺は店の前までガイアを送っていき、その足で教会に向かった。
後は、下着屋に行って、更に露店で香水を買って…滑り込みでチキンを買ってワインとパンを買った…まぁこんなもんだ。
◆◆◆
宿に帰ると窓から外を見ているマリアが目に映った。
「ただいま」
「遅いのですわ…私なんか捨ててどこかに行ってしまったのかと思いましたわ」
目が腫れていて良く見ると少し前まで泣いていたようだ。
相変わらず強がりだな。
「俺がそんな事するわけないだろう」
「そうですわね…うんそうですわ…リヒトはこんな化け物が好きな変態さんですものね」
「あのさぁ…俺は今でもマリアは可愛いと思っているよ…外見なんて魅力の一部にしか過ぎない…だから、その化け物っていうの止めて欲しい」
「解りましたわ」
その後、買ってきたチキンを二人で食べてワインを飲んだ。
そう言えば…随分前に買った宝石のペンダントがあったな。
「マリア…これ」
「これ私にですの…ありがとうですわ」
「ああっ、但し最初に言っておくけど三人にあげようと思っていたんだ...だから後二つ…」
「だったら、それも見せて欲しいのですわ」
「ああっ…これ」
「これはもう要りませんわよね? 私は生涯リヒトの傍から離れませんわ? 私が居ればもう二人は要りませんわよね!」
泣きそうな顔だ…
「どうしてそんな事言うんだよ」
「だって、リヒトが三人を同じ位好きなら…私はもう傷物ですわ…多分、三人の中で私が一番好きでなくなる時がきますわ…そんな時が来たら…きたら、きたら…あぁぁぁぁぁぁー-っ私…私だめですわー-っ」
何処でルートを間違えたのかな…
やはり俺は…不器用だからハーレムなんて作れないな…
うん…良し諦めた。
「解ったよマリア…もう俺はマリア以外の女性は見ない…これで良いか…実はガイアにも勝手だがマリアをパーティから外すように頼んだ…それでな俺がマリアとパーティを組めるようにお願いしたんだ」
「そうでしたの…もう仕方ありませんわね…まぁリヒトは私が大好きなんだからそれで宜しいですわ」
強いな…本当に強い…人は落ちた時にその本性が現れるというけど…凄いな。
「そう良かった…それで明日から宿も移すから宜しくな」
「確かにあの三人には恨みしかありませんかから、会ったらなにするか解りませんからその方が無難ですわね」
「まぁな…俺はまだガイアや二人と暫くは付き合うけど…それは許して欲しい」
「しかたありませんわ、あの二人に一切色目を使わないなら許してあげますわ…あらその袋はなんですの?」
「あの…これは」
いきなりマリアに袋を取られた。
「香水…あらこの下着は…こう言うのが好みなのですね…良いですわ、身に着けてあげますわ…身に付けたらさっきの続きですわね…さぁまずはお風呂に一緒に入りましょう…ですわ」
此処迄変わるなんて思わなかったな。
本当は三人とも幼馴染が欲しかったけど…もう無理だな。
うん、もう腹を括ろう…これからはマリアだけを愛そう。
「マリア…愛しているよ…世界で一番愛している」
「嬉しいですわ…そんな事言われたらもう…何でも許してあげたくなってしまいますわ」
結局、朝まで眠る事なく、マリアと俺は愛し合った。
たった1日だが…お互いにもうして無いことは無い位激しく。
※この話も恐らく後数話で終わります。
やはり中編位で書くのが私の場合は良いのかも知れません。
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