第6話 ちいさな皹


そろそろよいんじゃないか?


俺はガイアを迎えにきている。


まだ時間はあるが、流石にオールナイトでやりっぱなしじゃないだろう。


受付で話をしてそのままガイアの部屋に向かった。


一応は宿屋とはなっているが、此処の宿屋はこの間のお店と繋がっている。


まぁ俗にいう連れ込み宿だ。


「ガイア~もう起きているか?」


ドア越しに声を掛けた。


「ああっ、リヒト、少し待っててくれ…」


この分だと朝もしたんだな…まぁ良い。


「ああっ、それじゃ直ぐそこの酒場で待っているよ」


「おおっ」


高級店のオールナイトコースだ…しかもガイアの憧れのエルフだ充分楽しめただろうな…


酒場で待つこと1時間ようやくガイアが来た。


「待たせたな」


「まぁ初めてだったんだから仕方ねーよ…どうだ楽しめたか?」


「ああっ、凄かった…あんな綺麗で美人なエルフがあんな事やこんな事…本当に凄かった」


そりゃそうだ…高級風俗だからな。


「そりゃ良かったな、まぁ俺も悪かったよ…」


「うん? どうしたんだリヒト? 何故俺に謝るんだ」


「いや、このパーティでガイアを除けば男は俺1人だ、もう少し色々考えてやるべきだったと思ってな」


「そうかこういう遊びも良いもんだな…それでリヒトはどんな子指名したんだ」


「ああっ、俺は宿に帰って三人と酒を飲んでいたよ」


「ちょっと待て…三人に手を出してないよな?」


「ああっ、妊娠なんかさせたら教会から殺されるからしないよ」


「そうか、それなら良いや…それでなんで遊んでいかなかったんだよ」


「あのな!ガイア、俺にはガイア以外に三人の幼馴染がいる…お前とバカ騒ぎするように三人とも遊びたいんだ、お前ら4人はこれからも一緒だろう? 俺には期限がある…故郷に帰っても、知り合いがいるだけだ…俺には大切な親友との最後の期間なんだよ、一線は超えられないんだ…楽しく過ごしたい…駄目かな」


これならどうだ?


反論できないだろう。


「そう言うことか? なら良いぜ…どうせ今はやれない女だからな…最もやれる頃にはババアだし…ああっ三職じゃなければ…」


ガイアも三人も気がついていないが、実は盲点がある。


ガイアと違い多分『俺はやれる』


妊娠しちゃ不味い…四職に避妊紋を刻めない…だから出来ない。


だが…俺は避妊紋を刻んでいる…表向きは兎も角『溜まっている事の発散』位で文句は言われないだろう。


「なぁガイアに聞きたいが…これからも俺が夜こういう所に連れてきてやれば…三人は貸して貰えたりするのか?」


さりげなくだが今ガイアの本音が漏れていたな。


「俺は別に構わないけど…良いのか? それで…実際に経験したから解るが多少イチャイチャ出来ても、結局やれないと俗にいう『蛇の生殺し』だぞ」


蛇の生殺し…この世界にもある言葉なんだな。


「俺はそれで構わないよ、ガイアと同じように三人も大切な幼馴染なんだ、それにもしガイア達が四職にならなければ…あの三人のうちの誰かと結婚したはずなんだぜ…一緒に居られる最後の期間、恋愛ゴッコがしたい、それだけだ」


「そうか…ならリヒトは俺が外で楽しむ金を用意する、その代り、別れるまでの期間、お前の恋愛ゴッコの許可をする…それで良いのか? 凄く悪い気がするが良いのか?」


なんで悪いんだ?


「何で悪いと思うんだ?」


「そりゃ…やれないし…なによりあいつ等、そこ迄、美人じゃ無いだろう? 悪いと思うのは当たり前だろう?」


「ああっ確かにそうかもな…変な事聞いても良いか?」


「遠慮するな、親友だろう?」


そうだな…


「あのさぁ、もし三人をくれたら、エルフかダークエルフの美女奴隷をやるって言ったらくれたりするのか?」


「馬鹿だなリヒト…魔王討伐の駒に必要だからそりゃ無理だ…だがそれが無いと考えたら…その条件ならくれてやっても良いぞ? そうだ討伐の後で良いなら…交換してやろうか? 最もその頃はババアだから…あはははっ、流石のリヒトも交換したくないだろう?」


「先は解らないが…それが本気なら交換して貰おうかな?」


「お前、本当に、俺を含んで幼馴染が好きなんだな…ああっ考えてやる」


まぁ流石に冗談だろうな。


「そうか…それなら、今度はいつにする?」


「リヒトが良いなら、今日が良い…なんなら毎日でも構わない」


「解った、了解」


まぁ童貞を喪失したばかりじゃこんなもんか。








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