第4話 男の遊び



「さぁ、今日の夕飯はリヒト特製の、蟹のパスタ異世界風にバジル風味のスープだ…うめーよ!」


なんだ?


変な目で見てどうした?


「これ、お前が作ったのか? 美味そうだな」


「レストランみたいじゃないか?」


「何かの記念日ですの…なかなか豪華ですわね」


「凄く美味そう」


本当は俺様系の男になりたかったが性格的に成れない俺はモテる為に料理も頑張った。


今迄は必要ないから手抜きしか作らなかっただけだ。


「まぁな、少し考えを改めたんだ…皆は四職、これからの人生栄光もあるけど大変だよな、良く考えたら俺は最大でも、魔族領の中盤でリタイア…その後は俺は冒険者か村に帰るかだ…ガイア達は貴族になるか領主になるのか解らないがもうおいそれとは会えないだろう?最後の数か月…思い出作りをさせてくれ」


「そうか…解った」


「そうか、確かに立場が変わるとそう言うこともあるよな」


「それなら良いですわ…残りの期間は意地悪はもう言いませんから仲良く暮らしましょう」


「そうね…うんそれなら良いよ…了解」


美味しそうにパスタを食べる四人を遠い目で俺は見ていた。


◆◆◆


今日の俺は単独行動だ。


ガイア達は四職だから支援金で結構な生活が出来ている。


だが、俺はパーティに所属しているが、この支援金が貰えない。


だから、自分の食い扶持は自分で稼がないとならない。


だから、このソロ活動で生活費を稼いでいる。


だが…これが良い。


腐っても俺はS級….かなりの大物が狩れる。


しかも勇者達と違って搾取はされないから…個人資産という事なら金貨10000枚(約10億円)弱はある。


凄いかどうかと言えば、凄く無いと思う。


ギルドのトップランクのS…簡単に言えば世界のトップクラスになってもこれだ…余り夢が無いだろう?


まぁ、これだけのお金がギルドの口座にあるのは、誰にも伝えていない。


冒険者ギルドには守秘義務があるから安心だ。


と言う訳で…今日は狩りに行くと言いながらサボりでお茶をすすりながら、街を見ていた。


◆◆◆


時間はたっぷりある、三人ようにプレゼントを用意するか…


ちゃんとした宝石商でネックレスを用意した。


これがミソだな、高級店の箱に入り高級な紙袋に入る…違いはしっかり解かる。


「これは、これはリヒト様、今回はどんな物をご希望で」


「少し見させて欲しい」


「解りました…何かあったらお声を掛けて下さい」


色々考えた結果…


エルザには、髪の色に合わせた赤い石の物を選んだ、鎖は短めにして 勇ましくボーイッシュなエルザには凄く似合うと思う。


マリアには、透明な前世で言うダイヤ似た石を選んだ、清楚なイメージの聖女の胸元にはピッタリだ。


リタには、青い宝石を使ったペンダント。髪の毛の色と合っていてリタに似合っていると思う。


買ったからと言って直ぐにプレゼントするわけじゃ無い。


渡すタイミングを外したら、只の無駄使いだし、感謝もされない。


後は、薬屋で幾つか悪用出来そうな薬を用意。


この世界には薬事法も無く危ない薬も無許可で買える…凄く便利だ。


『偽装眼鏡』を道具やで2個買って…準備はOKだな。


他に必要な物があれば、買い出しは率先して俺がやる予定だから問題ないだろう。


後は情報を仕入れて…これで準備はOKだ。


◆◆◆


少し遅くに宿屋に帰った。


今日もイチャついているのだろうか?


ドアの前で様子を伺う。


リタとエルザの部屋からは光が漏れている。


という事は今日イチャついているのはマリアか…


暫く様子を見ているとガイアの部屋からマリアが出てきた。


こんな時間に帰るようなら、今日は何もしてないだろうな。


マリアが自分の部屋に戻るのを確認してガイアの部屋をノックした。


「ガイア…いるか」


「なんだ!リヒトか? こんな夜遅くになんのようだ?」


イチャついた後にしてはベッドも乱れてないし…此奴女が部屋にいたのに何しているんだ…


「いや、奢るから偶には一緒に飲みに行かないか?」


「男同士で飲んでも面白くないだろう…行く意味がないだろう?」


「そう言うなよ…面白い場所を見つけたから行こうぜ」


渋るガイアを説得して俺は二人で夜の街へ出かけた。


◆◆◆


「一体どこに行くつもりなんだ? 飲むならギルドの酒場で良いじゃねーか?」


「まぁまぁ、そうだガイアこの眼鏡を掛けてくれ」


「なんだ? その変なメガネは?」


「この眼鏡は『偽装眼鏡』って魔道具で容姿が違って見える眼鏡だ…これを掛ければ、ガイアだと誰も解らない」


「なんで、そんな物が必要なんだよ…」


「良いから、良いからほら」


「解ったよ…」


え~と此処で良いんだよな…


「さぁ、ガイア着いたぞ」


「変な所にくるんだな」


「良いから行こうぜ」


階段を下ってドアを開けた。


「なななななっ、なんだ此処は!」


ガイアが驚くのも無理はない。


下着姿…半裸の女性が台の上で踊っている。


幾つもの台があってその周りにカウンターがあって、そこに座ってお酒を飲みながら、女のダンスを見る。


まぁ前世で言うなら…海外のストリップみたいな物だ。


「ガイア、好みの子が居たらそこのテーブルに行こうぜ…此処は俺のおごりだから気にするな」


「ああっ…」


目が泳いでいるな…勇者だなんだ言っても、中身は田舎者。


こういう大人の遊びには慣れていないだろうな…


「どうだい? 気に入った子は見つかったか?」


「ああっ、あのテーブルにする」


おーお顔を真っ赤にして…異世界の定番のエルフか、実にガイアらしいな。


俺は…スタイルが良すぎてちょっと好みから外れるけどな。


「それじゃ、そこに座るか? エール二つ下さい」


型じょうはエールを飲みながらストリップ、ヌード、ダンスを見て楽しむ…そういう娯楽だ。


「リヒト…すげーなこれ」


「だろう?…それじゃ座ろうか?」


食い入るように踊り子を見ている。


「ああっ」


「どうだガイア、なかなか楽しいだろう? だけど俺と違って女の裸は何時も見ているんじゃないのか?」


「ああっ、彼奴らとは服の上から触ったりしているだけで、裸は胸位しか見てねーよ…それも服の隙間からな」


なんだ…流石に手コキ位は経験していると思ったが違うのか?


まるで小学生か中坊の付き合いだな。


「そうか、あとこの遊びはな自分のテーブルの前に銅貨を1枚置くんだ…ほら置いてやったぞ」


「どうなるんだよ…」


「こうなるんだ」


「お客さん…凄く男前ね、愛しているわ…チュッ」


裸のエルフに胸を押し付けられてキスをされて…顔が真っ赤だな。


「リヒト…これすげーな!」


「だろう? それでなガイア、今迄悪かったな、パーティに男はガイアを除いて俺しかいない…こう言うことは俺が教えてやるべきだったな」


「そんなの別にいいよ、これからも誘ってくれよ」


「ああ、良いぜ、少しだけ、話をしても良いか?」


「いいぜ…」


「勇者パーティでエッチな事をするのが禁止されているのは妊娠の問題があるからだ…正確には妊娠によって旅が続けられなくなるのが問題だ」


「ああっ、そうだ、だから出来ないんだ」


「それは、あの三人が相手だからだ、他の人間を妊娠させても別に旅に支障は出ないし…他の女性なら妊娠させても魔王討伐に問題は起きないだろう?」


「だが、他の女を妊娠させたら責任は負わなくちゃならないだろう?」


確かにそうだ。


「ああっ、だからプロを相手にすれば良い」


「ププロ?」


「ああっこの場合は娼婦とかな、相手はプロだから避妊はしっかりしているし、お金を払って買っただけだから問題は無いはずだ」


「だが、勇者の俺がそんな事したら醜聞にならないか?」


「だから、その『偽装眼鏡』を使うんだ、鑑定でもされなくちゃ絶対にばれない」


「そうか…確かにそうだな」


納得したようだな。


「それで、さぁガイア、そこのエルフの踊り子と幼馴染の三人、どっちが可愛いかな」


「あはははっ、この子に比べたら、彼奴らはチンチクリンのオカメポンチだ」


まぁ此処は高級店だからな。



「そうか、そんなに気に入ったなら童貞捨てて来いよ…ショートで銀貨3枚、オールナイトで銀貨6枚だ…俺が奢ってやるよ、朝方俺が迎えにくるから、三人には俺が酔いつぶれて仕方なく近くの安宿に泊まった事にしようぜ」


返事を持たずに俺は銀貨6枚をテーブルに置いた。


「良いのか?なんだか悪いな」


「良いって、あと銅貨6枚渡しておく…此処の部屋代は別料金だからな」


「え~と私を買ってくれたのはどっちかな?」


「そっちだよ」


「お客さんありがとうございます…凄く二枚目ですね、私頑張っちゃいますね」


「ああっ…お願いします」


腕を組まれて真っ赤なガイアを俺は笑顔で送った。


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