第3話 友情と愛情は別』それが俺の世界だった


まず此処で今の状況を整理した方が良い。


彼奴らが肉体関係にあるかどうかだが…絶対にない。


ガイアが勇者で他の三人が三職(聖女 剣聖 賢者)である以上、やりたくても出来ない。


勇者は孕ます方だから良いが、三職がもし妊娠でもしたら生々しい話だが10か月近く戦闘が出来なくなる。


その為『やりたくても出来ない』


精々がいちゃつきあっているだけだ。


もしかしたら性処理位はしているかも知れないが、この世界は何故か俺の前居た世界より、性行為の技術が進んでいないから…精々が手でしてやって胸を触らしてやる位じゃねーのかな。


まぁ『出来ないあいつらが可愛そうだから回数にカウントしてやるが(笑)』


それでも精々が数回位だろう。


この世界には残念ながらコンドーさんは無い。


魔術的な物で『避妊紋』という物があるが…


四職である彼らは外聞があるからそんな物を彫れない。


見られないとはいえ呪術的な入れ墨を入れるのは『聖なる存在』の彼等には不味いだろうな。


『だが、俺は彫れる』


だから、俺は奴隷商に来た。


まぁ、元は性処理奴隷に彫り込んだ物から進化した物だから、当たり前だな。


◆◆◆


「これは、これはリヒト様、今日はどういったご用件ですか?」


勇者パーティだから名前はそこそこ知られている。


旅から旅の勇者パーティだから『奴隷』には縁が無い。


だから相手もお客とは思っていないだろう。


 「今日は俺に避妊紋を彫って貰いたくてきたんだ」


「リヒト様が…避妊紋ですか?」


普通に考えて勇者パーティの俺が『避妊紋』を入れるのは可笑しい。


傍から見れば『やる』そういう宣言にも見える。


だから、俺は此処で少し小さな爆弾を落とす事にした。


「うちのパーティは『妊娠はご法度』じゃないですか? 普通なら適齢期の女性がそういう経験が無いなんて可哀そうでしょう?」


「確かに…まさか性欲処理までしなくてはならないなんて勇者パーティに所属するのも大変ですな」


「まぁね」


奴隷商には情報の守秘義務があるから、これが他に伝わることは無い。

だが、もし大きな問題が起きた時に『証言』は得られる。


それに『前世で言うなら『いざやれる』というチャンスに財布にコンドームが無いから断られる』それを防ぐ為にも入れて置く意義はあるだろう。


「それじゃ、入れさせて頂きますのでこちらへどうぞ」


どんな仕組みか解らないが、俺のお尻に筆で呪印を書いたらそのまま刻み込まれた。


刺青の様に痛いものを考えていたがそれは違ったようだ。


「これで終わりか?」


「はい...これで解除するまで妊娠させる事ありません、銀貨3枚になります」


「ありがとうよ…解っていると思うが、他言無言でお願いする」


「こちらも商売です、ご安心を」


これで一つ事前準備が済んだ。


◆◆◆


「おばちゃん、その蟹を3つくれ」


「そこのトマトも5つくれ..あとニンニクもな」


俺は市場に来ている、久々に料理の腕を振るってやる事にした。


この世界に転生してから、俺は昔の生き方を封印した。


地に足をつけて生活する…前の世界のじじいにしつこく言われた事だ…


そんな生活も良いんじゃないないか?


この世界に来てそう思っていたが止めだ、止め…


誰か1人とただ慎ましく、地味だが幸せな生活、それも良いな、そう思った。


この世界の生活に慣れすぎたのだろうな。


前の世界は…どうだった?


綺麗な女に群がる男。


選ばれるのは…その中の一人。


キラキラ光るミラーボール…そこで踊るワンレンボディコンの美女。


汗とタバコとアルコールの匂いがする綺麗な女。


踊っている時から声を掛け続け、無視され、馬鹿にされ…それでも食い下がり…手にする栄光。


タバコに汗臭いセクシーな美女との一夜。


それが溜まらない。


それは…女の取り合いと言う名の戦場だ。


そこに俺は戻る。


1人何てもう思わない…狙うは全員。


友情は捨てない。


ただ『友情と愛情は別』そういう男の世界に戻るだけだ。

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