Gのクロスロード


 昔、東京で働いていた頃の話だ。 

 朝早くから、夜は終電まで働く毎日。

 子供たちは夏休みを満喫しているが、そんなもの俺には関係なかった。


 新宿から乗り換え一回、杉並区のとある駅で降りる。改札を出ると通りの斜め前に牛丼屋のチェーン店があり、そこで遅めの夕食を食べて帰るのが常だった。


 その日も例に漏れず牛丼屋に寄り、豚バラ定食を食べていた。牛丼屋なのに豚バラ定食とか邪道な気もするが、メニューにあるのだから仕方がない。

 牛丼の文句は牛丼屋に言え!

 豚バラの文句は……まあ、それは置いておこう。


 夕食が終わり、茶をすすり、会計をすまして外に出る。食事で火照った体に夜風が心地よかった。


 交差点。赤信号。横断歩道の白色のストライプが薄暗い街灯に照らし出されている。仕事疲れで視線が下を向いていた為か、信号待ちをしている俺のすぐ横、ゼブラゾーンの上に“黒い点”がある事に気が付いた。


 点と言っても5㎝弱くらいの楕円形。その形、大きさ、光の反射、思い当たるヤツがいる……


 ――そう、そいつは紛れもなくG。野生だ。野良だ。


「マジか……何で信号待ちしてんだよ」


 思わずつぶやいてしまっていた。もちろんGにそんな事を考える頭なんてあるはずもない。たまたまそこにいただけの事だろう。


 だけど……



 あ…ありのまま 今 起こった事を話すぜ!

「おれは 奴の横で信号を待っていたと思ったら いつのまにか追い越されていた」

 な… 何を言っているのか わからねーと思うが 

 おれも 何をされたのか わからなかった…



 そう、Gは青信号に変わった瞬間


 ――横断歩道を渡り始めた!


 マジか……東京のGは信号待ちするのか。ショックだった。こんな事があり得るのか?



 その場から俺は動けず、闇に溶けて行くGを見守るしか出来なかった……

 追いかける事が出来なかった。


 どうだ? 君は進めるか? Gとのランデブーロードを!!!



 そう、あの夜……恐ろしいものの片鱗を 味わったぜ……



                完



本作を完走していただいた皆様ありがとうございます(*´▽`*)

いや~何というか……アナタ物好きっスね!





ただ今執筆中の長編2本です。是非是非こちらもヨロシクお願いします(´艸`*)



・恐竜を美少女化して魔王と闘えだと!?


【ジュラシック・ティル ~猫耳転生と恐竜少女~】


恐竜を変身させるスキルを与えられた、アラサー呑兵衛猫耳美少女の八白亜紀(やしろあき)。戦闘力はミジンコだけど、度胸だけは超一流!

敵は異世界から攻めてくる魔王軍。

ジュラシックカーストNo.1のティラノや、もふもふ可愛いサーベルタイガーの子。様々な能力を持った恐竜娘達と、人類存亡をかけた戦いに挑む物語。


https://kakuyomu.jp/works/16816927863216898353




・コメディの皮をかぶったダークファンタジー


still Alive【無双できない世界なので、知識とハッタリで乗り切ります!】(表紙イラスト有り)

世界の4割が転生者という不思議な異世界。現代社会の文化が流れ込み、技術が発展していく。誰もが魔法を使え、突出した能力もなく、そしてここには、回復魔法なんて存在しない……。

持ち前の知識とハッタリ”で、世界に渦巻く陰謀に立ち向かう。生死ギリギリの物語をコメディタッチで展開。

※超美麗な表紙イラスト有り

https://kakuyomu.jp/works/16816927859914882626

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る