Gのストラテジー ~俺は、刻の涙を見た!~

猫鰯

Gの生存戦略

 あの日経験した、背筋の凍るようなあの話。

 想像すると足の裏がかゆくなる様なあの話。

 封印したはずのあの話を、今ここに


 ――解き放つ!


 時は平成、季節は夏。盆地であるこの地域は連日殺人的な猛暑が続き、実際救急搬送される人が後を絶たなかった。梅雨が明けてもじめじめじめじめ、不快指数は東大入試偏差値の遥か上だ。


 夏休みでゴロゴロしていた俺が、母親に言われベランダに干してある洗濯物を取り入れに2階に上がった時だ。階段の踊り場に、その時、そいつは……いた!


 黒くギラギラと光るポルシェの様なシルエット。

 羽を広げたさまはさながらカウンタック。

 F1マシン並みの速さとラリーカー並の取り回しの良さ!


 そして、フロントカウルにはGの頭文字。



 突然の遭遇に俺は固まり……挑発しないように、静かに、それでいて素早く、そこにあった薄い雑誌を手に取り丸めた! だが、殺気が漏れていたのだろうか。右手に武器が完成した時には、目の前にある古い掃除機の下に潜り込んでしまった。


 目撃してしまった以上は放置するわけにはいかない。意を決した俺は武器を構えると、掃除機を右足で軽く……蹴った!


――振動に驚いて飛び出してくる漆黒のG!


 しかし、事もあろうかヤツは……蹴った後の右足の着地地点に、一塁ベースにスライディングする高校球児の如く滑り込んで来たのだ!!!!



 あ…ありのまま 今 起こった事を話すぜ!

「おれは 奴の前で階段を登っていたと思ったら いつのまにか踏んでいた」

 な… 何を言っているのか わからねーと思うが 

 おれも 何をされたのか わからなかった…



 足を着地する瞬間恐怖を感じた俺は、踏み潰さないように一瞬力を抜いた。それが功を奏したのだろう。潰すことはなかった。だが、潰れなかったGは、俺の足の裏で……絶妙な力で押さえつけられている為動けず、モゾモゾと身悶えをしていた。



 【猛暑・夏休み・実家】 

 勘の良い読者ならこのキーワードから連想したと思う。


 そう、その時俺は靴下を履いていなかった。“素足”だったのだ!!!


 ――想像してみてくれ。

 潰すに潰せず、それでいて裸足の裏でモゾモゾ悶えるG。

 力を抜いたら逃げられる。 だが、素足で踏みつぶす勇気はない!


 どうだ? 君にはあるか?その勇気が!!!


 そう、あの夏……恐ろしいものの片鱗を 味わったぜ……



                  完






ただ今執筆中の長編2本です。是非是非こちらもヨロシクお願いします(´艸`*)



・恐竜を美少女化して魔王と闘えだと!?


【ジュラシック・ティル ~猫耳転生と恐竜少女~】


恐竜を変身させるスキルを与えられた、アラサー呑兵衛猫耳美少女の八白亜紀(やしろあき)。戦闘力はミジンコだけど、度胸だけは超一流!

敵は異世界から攻めてくる魔王軍。

ジュラシックカーストNo.1のティラノや、もふもふ可愛いサーベルタイガーの子。様々な能力を持った恐竜娘達と、人類存亡をかけた戦いに挑む物語。


https://kakuyomu.jp/works/16816927863216898353




・コメディの皮をかぶったダークファンタジー


still Alive【無双できない世界なので、知識とハッタリで乗り切ります!】(表紙イラスト有り)

世界の4割が転生者という不思議な異世界。現代社会の文化が流れ込み、技術が発展していく。誰もが魔法を使え、突出した能力もなく、そしてここには、回復魔法なんて存在しない……。

持ち前の知識とハッタリ”で、世界に渦巻く陰謀に立ち向かう。生死ギリギリの物語をコメディタッチで展開。

※超美麗な表紙イラスト有り

https://kakuyomu.jp/works/16816927859914882626



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