第15話 公然猥褻殺人事件
🍢 🍢 🍢
「砧良介は死ぬ前に何故あんな不可解な行動をとったのでしょう?」
「そんなのわかりきってるじゃん。砧は何者かに喉を切りつけられて、自分の命が残りわずかだということを悟っていたんだ」
「……なるほど。そこで砧はどうせ死ぬなら最後にやりたくてもやれなかったことをしたわけだな」
工口は牛筋を噛み締めながらしたり顔で頷いた。
「え?」
朝立は上司の発言にドン引きした様子で、箸から蒟蒻を落とした。
「あ、いや、私は違うぞ。私はほら、高校生以上じゃないとストライクゾーンじゃないから!」
「……警部、それ何の弁解にもなってないんですが」
朝立は慌てる工口にますます引いてしまう。
「砧がやろうとしていたことはダイイングメッセージだよ」
「……ダイイングメッセージ?」
「砧は喉を切られて話せない状況だった。そこでジェスチャーで犯人を知らせることを思い付いたんだ」
エリカは熱々の
「当時、砧の家にいたのは婚約者の
「何だ、センズリなんて名前の奴はいないじゃないか」
工口が落胆したように肩を落とす。
「犯人、わかったんだけど」
エリカの瞳がキラリと光る。
「本当か、エリカちゃん!?」
「犯人は女中の松葉菊江だよ」
「その心は?」
「二人はデロスペルマって花を知ってる?」
「……いえ」
「凄く卑猥な名前だな」
「小さくて可愛い花なんだけど、この花の日本名がマツバギクっていうの」
「……ええと、つまり?」
「砧は陰茎をしごきながら女子中学生に犯人の名前を伝えたかったんだ。
「なるほど。最後のエメラルドスプラッシュならぬ、白子スプラッシュってわけだ」
「……命を、否、精子を振り絞った最後のメッセージだったんですね」
朝立は熱燗を煽りながら、しんみりと呟いた。そんな朝立の肩を、工口がポンと優しく叩いた。
「よし、松葉菊江を徹底的に調べよう。大将、カルピスサワー三つ!!」
こうして事件は一件落着。今回も難事件であった。ふぅ。
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