第9話 真夏のビーチ殺人事件

 工口こうぐち警部はビーチパラソルの下で寝そべりながら、砂浜ではしゃぐ水着ギャルたちを嘗め回すように眺めていた。


「デへ、デへへへ……♡」


 焼けた素肌。揺れる巨乳。砂のついたお尻。

 警部は鼻の下と股間を伸ばしながら、夏の休暇の一時を満喫していた。


「……こりゃ堪らん♡」


「きゃあああッ!!」


 そんなお楽しみ中のエロ警部に冷や水を浴びせる出来事が起きた。


 突如、砂浜に男の死体が打ち上げられたのだ。


   🦀 🦀 🦀


 工口警部はご機嫌斜めだった。

 折角の休暇が死体の登場で台無しである。さっさと処理を済ませて続きを楽しもうにも、ビーチに水着ギャルたちの姿は影も形もなくなっていた。

 ……トホホ。


「警部、死体の身元が判明しました」

 朝立あさだち巡査が工口警部の元に馳せ参じた。


「仏さんは筋浦すじうら洋平ようへい、大学生。友人たち数名と海水浴に来ていたようです。背中と足に毒クラゲであるカツオノエボシに刺された跡があり、死因はアナフィラキシーショックだと考えられます」


「そうか。事件性のない単なる水難事故なんだな?」

「ええ」

 頷く朝立。


「だったら何でここにエリカちゃんを呼んだんだ?」

「何でって、今回は水着回ですから」


「…………」


 真顔でメタ発言をする朝立巡査に、工口警部は溜息を吐くことしかできなかった。


   🦀 🦀 🦀


 ギャル探偵・肉倉ししくらエリカ、純白のマイクロビキニでビーチに降臨。


 エリカは何故か死体の股間をつぶさに観察している。


「犯人、わかったんだけど」


「あー、はいはい、知ってますよ。犯人はカツオノエボシってんでしょ?」

「そうじゃない。警部、これは殺人事件だよ」


「何だって!?」

 工口は驚きながら、エリカの形のいい胸をチラ見していた。


「裏筋洋平は陸の上でカツオノエボシの触手に触れて殺されたんだ。その後、沖まで運んで事故に見せかけた」

「……何故そう言い切れるんだ?」


「筋浦のチンコをよく見て。包茎手術の痕跡がある。それも術後数日ってところかな。体内に吸収される糸がまだ残ってる。恐ろしく上手い包茎手術。ウチじゃなきゃ見逃しちゃうね」


 ビッチギャル探偵の面目躍如めんもくやくじょである。


「包茎治療直後は患部が敏感になっているから、強い刺激は避ける筈。しかも感染症の危険もあるから、自分の意志で海に入るなんてあり得ないことだよ」


「……じゃあ犯人は?」


「嘘をついている筋浦と一緒に海に来たと言っている連中。口裏を合わせているということは、全員共犯だろうね」


 こうして事件は一件落着。今回も難事件であった。ふぅ。

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