第4話

 ゼロからモノを生みだす人間は、多くの創作物に触れるべきだ。


 創作とは歴史上で優れた創作物の足跡から歩き方を学ぶことに等しい。シャルトルのベルナールは、我々が遠くを見渡せるのは、歴史、或いは古代人という巨人の肩に立っているからと考えていたそうだ。転じて、現代に作られる物の殆どは、積み重ねられてきた歴史の上に立っている。


 そんな大層な価値観までは至らずとも、良いものを知らなければ良いものは書けまい。


 それが畑野の持論であり、それ故、畑野は多くの創作物を好んだ。


 小説に限らず、映画や音楽、舞台にアニメ。多岐に渡る趣味の中でも取り分けて好んだのが映画だった。


 文芸同好会の退会を伝えた同日、レイトショーを見終えた畑野は大きく身体を伸ばしながら映画館を去る。既に辺りは真っ暗で、星が輝く中秋の夜にこぼす吐息は、白く曇る。


 先日までは推理小説を主に取り扱って書いていた畑野だったが、限界を感じて方針を転換することにした。転換先に学生の青春や、サクセスストーリーといった題材を選び、その取材も兼ねた映画鑑賞だったのだが、存外に楽しめた。


 頭の中でグルグルと構想を練りながら夜道を歩く畑野は、信号に遮られ、立ち止まる。


 何げなくポケットからスマートフォンを取り出して、ふと、馴染みない人物からのメッセージに気付く。


 ――発信者は、篠宮だった。


『今日はすみませんでした』


 発信時刻は三時間前、畑野が帰宅をしてしばらくしてから送られたものらしい。


 いかに簡素なものといえども、彼女からのそんな謝罪の文面が意外だった畑野は、驚き戸惑う。そして、大きく息を吐き、それから苦笑をした。別に、彼女が畑野に大きな迷惑を掛けた訳ではなく、彼女もそれは理解しているだろうに、律儀なものだと感心した。


 何と返すべきか迷ったが、青になりかけている歩行者信号を一瞥し、急いで定型文として活用されているイラスト付きメッセージスタンプを送信した。それから、スマートフォンをポケットに放り込み、駅までの道を歩き出す。


「……む」


 しかし、ふと、横断歩道を越えた場所で立ち止まる。


 それから、十字路を右に曲がった先、ネオンライトの集合体を一瞥した。


 普段、文芸同好会が飲み会に使っている店はここからそう遠くない位置にある。別に飲みたい気分という訳ではないが、生意気な後輩のメッセージのせいで、少しだけ彼女のことを考えてしまう。あの後にどんなやり取りがあったのかは知らないが、彼女は今日も男と一緒に飲みに行っていることだろう。


 それだけならいいが、先日のように泥酔をしていたらどうする。


 彼女がどんな男と夜を越そうと、特に何を思うことも無い。それが彼女の望む人生なのだ。しかし、ほんの少しだけ――彼女のことを知った今、どこか破滅的なその生き様が気に掛かった。異性が好きなのではなく、ただ、男女を問わず正負を問わず、誰かに認められることだけを考えている。そんな生き様が。


『――嫉妬は、羨望ですよ。私を認めてるようなもんです』


 先日、泥酔した彼女のこぼした一言が脳裏を過った。


 畑野はしばらく考え込み、後ろ髪を掻く。


「……義理は無いんだけどなぁ」


 悪い人間ではないことは、理解しつつあった。


 家からわざわざここまで来るような真似はしないが、近くに立ち寄ったのなら様子くらいは見てやってもいいのではないだろうか。彼女の生き様や思想は嫌いだが、悪い人間ではないし、何よりも、事故とはいえ行為に耽った間柄だ。




「アンタさ、よそのサークルの男にまで手ぇ出すのやめてくんない!?」


 駅前、居酒屋近くの路上でそんな怒声が響いた。


 いかにも清純そうな黒い長髪に眼鏡を掛けたお淑やかな格好の女子が、仄かに酔いの入った栗髪の絶世の美人――篠宮に食って掛かる。胸倉を掴まんばかりの勢いと剣幕で、唾を飛ばしながら「噂になってんのよ! 節操ないアバズレが好き放題やってるって!」と、篠宮に叫び、路上を行き交う人達は、そんな揉め事を遠巻きに眺めていく。


 そんな感情任せの怒声を散らす彼女を冷めた目で一瞥した篠宮は、戸惑った様子の男性諸君へと視線を移す。別に、道理に背く真似をした覚えはない。


 ただ、知人の少女がこのテニスサークルに居て、誰かと一緒に飲みたいという旨を通りすがりを装って話しただけだ。


 当の知人は酷く怯えた様子で事態を見守っていたが、彼女に収束までは求めない。この場をセッティングしてくれただけでも、本当に有り難いのだ。


 日に何度も理屈で説き伏せるのは面倒で、篠宮はマンパワーを行使する。


 唇を噛み、悲痛な表情を作って顔を微かに俯かせる。それから、自分の身体を抱きながら、掠れる声で「ごめんなさい、ただ、一人で居るのが寂しくて」と消え入るような謝罪をした。――途端、男性諸君の一部が沸き立つ。


「おい、そんな言い方しなくてもいいだろうが!」

「なんで一緒に飲むだけでそんなこと言うんだよ、別にいいだろ」

「そもそも、どれだけ怒っていても初対面で暴言は非常識だよ」


 数名の男子に責められた眼鏡の女子は、「はぁ?」と反骨心を示すも、その声は震えている。そんな様をちらりと盗み見た篠宮は、嗚咽を殺すように手で口を覆うが、その内側で緩む頬を抑えきれない。


 別に、妻帯者を狙っている訳ではないし、横恋慕もしていない。ただ、寂しいから誰かと飲みたいと言って、酔ったから誰かに送ってほしいと言うだけ。そこから先は、その人物がどれだけ理性的かという話だ。


 嬉しかった。自分と飲みたいと言ってくれる人が居て、そんな自分が男性を惹き付ける様に嫉妬してくれる人が居て、それから庇ってくれる人が居る。今、ここに居る人達は篠宮という人間を認識し、正負を問わず、その価値を認めてくれている。嬉しくて、子宮が疼くような感覚さえ覚えてしまった。


 他の何を感謝せずとも、整った顔立ちで生んでくれたことだけは、両親に感謝しなければならないだろう。篠宮は不意の欠伸を懸命に噛み殺し、代わりに少しだけ出てきた涙を拭う素振りで目の端に塗り広げ、気の強そうな男を上目遣いに見た。


 それを認識した男は、更に語気を強くして眼鏡の女を糾弾し始める。


 これで形勢は逆転し、邪魔が入らなければ送り狼まで事を運べるだろう。ただし、そこに嫉妬する人物というアクセントが入らないのは少しだけ好ましくなくて、この調子では女性たちは帰ってしまうだろうと推測できた。それに、流石に『言い返す』では収まらない人格批判が入り始めており、事態の収拾が必要そうだった。


「そ、それくらいにしてください!」


 篠宮は甘い声でそう懇願し、男性諸君の糾弾を阻止する。


 それから、涙目になりつつあった眼鏡の女に歩み寄ると、身構える彼女の前で涙目を見せる。それから、彼女の手をそっと掴んで、優しく力を入れる。


 女性と肌を重ねた経験もある。先日の畑野に関しては記憶が無いが、それ以外でも何度か。少なからずそういう経験はあり、また、そういうケースにおける踏み入り方も理解しているつもりだった。今、目の前の彼女が対外的な立場を取り繕う唯一の方法は、下手に出た篠宮を認め、受け入れることだけ。そういう方向に進んでも面白そうだ、と胸中で考えながら、篠宮は心にもない言葉を並べていく。


「ごめんなさい……本当は、先輩とお近づきになりたかったんです」


 告げた途端、微かな動揺が手を伝って届く。ここで彼女が嫌悪感しか示さなかったのなら、脈無しで方向転換をしたところだが、どうやら存外、心が弱っていたらしい。篠宮はここぞとばかりに彼女の指に指を絡めて上目遣いに見た。


「前々から、テニスをしている先輩が格好いいなって思っていて……でも、運動は苦手だから先輩に近付くにはこういう機会しか無くて」


 女の瞳が眼鏡越しに揺れるのが見えた。絡めた指で彼女の指の腹を撫でる。


 ほんのりと朱を帯び始めた彼女の頬を一瞥した後、篠宮は彼女の指の腹を自身の指先でクルクルとなぞり、甘く掠れた吐息を漏らす。それから、指を絡めながら手を握って、濡れた声色と瞳で彼女に懇願した。


「駄目……ですか?」


 生唾を呑む女を見て、静かに半歩近付き、吐息が触れ合うような距離へ。


 篠宮は、こんな自分が誰かに恋をすることは無いだろうと思っている。それに、そんな関係に発展したいという誰かの願望も断り続けた。だが、性欲とは無縁な存在ではない。今日は彼女と過ごすのも悪くないだろう。意地悪の償いも兼ねて、と誘った。


 それで、今度は先程の男たちに嫉妬をさせるのだ。


 考え始めると興奮が止まらない。誰が、とか、どうやって、とか。そんなことは篠宮にとってはどうでもいいことで、重要なのはただ一つ、ただ、自分を見てくれていること。認めてくれていることだけが、篠宮における他人の価値だ。


 篠宮が見詰める先で、女は動揺と興奮を瞳に覗かせながら口を開こうとする。


 その時だった。


「――篠宮」


 馴染むほど聞いたことはないが、最近、よく聞いた女性の声。喧騒の中に浮き上がるようなその声に篠宮が思わず振り返ると、そこには、通り過ぎていく群衆の中、少しだけ険しい表情を浮かべる畑野が立っていた。


「……畑野先輩」


 自分の声が思っていたよりも素っ気なく、そして冷たいことに、篠宮は驚いた。




「それで、何の用ですか?」


 揃って、当てもなく道を歩く。ネオン街を尻目に、街灯だけが照らす寂しい道へ。


 結局、あれから篠宮はテニスサークルの面々との飲み会を断念した。無論、篠宮にとっては畑野を無視しても構わなかっただろうが、興が削がれたとでも言いたげだった。


 畑野が彼女を認識した頃、彼女はサークルの女子と揉めていた。そうかと思えば、今度はその女子を口説こうとした。彼女にとって性別や経緯は関係なく、色恋沙汰はすなわち、正負を問わずに承認欲求を満たす道具に過ぎないのだろう。


 彼女にとって好きな相手ではなし、同好会の上下関係も消失した今、二人を繋ぐものもないだろうに、律儀に呼び出しに応じた篠宮へ、畑野は素直に告げた。


「偶然通りかかったら、知った顔が揉めてたから声を掛けた」

「……その目は節穴ですか? 解決しそうだったじゃないですか」


 篠宮は心底不満そうに頬を軽く膨らませながら文句を垂れた。


 畑野は彼女の物言いに呆れつつ肩を竦める。


「さあ、私にはそう見えなかったから」


 解決しそうだったということは畑野も知っていた。だが、その解決方法はあまり好ましい行為とは思えなかった。勿論、彼女が誰と行為をしようが彼女の自由で、それを止める権利は畑野には無い。それに、そうするべきという義務もない。


 ただ、その退廃的な生き様が酷く不愉快で、思いとどまってほしかっただけだ。


 彼女は立派な人間ではないと思うが、別に自分が立派な人間だと思ったことも無い。


 畑野がとぼけた調子で話をはぐらかそうとすると、篠宮はため息をこぼす。


「……勘弁してくださいよ。私がどう生きようと私の勝手じゃないですか。なんですか、私のお母さん気取りですか? 生憎、先輩の産道には指しか入れてないので」

「舌も入れてたかも」

「炎症してないのでそれは有り得ませんね」


 べ、と舌を出す篠宮。酷い言い草だった。


 畑野は後ろ髪を掻きながら、ぽつりと嘘で取り繕う。


「別に私はアンタがどんな生き方をしたって何とも思わないし、今回も偶然ここを通りかかっただけ。見知った顔が揉めてたから声を掛けただけで、他意は無い」


 面倒を避けるために適当な嘘で取り繕う畑野だったが、篠宮はしばらく沈黙したまま黙って歩く先だけを見詰める。それから、確かな苛立ちを宿した表情を投げてきた。


「……私は、人に嫉妬されるのも、人から欲望を向けられるのも好きなんですよ。大好きなんです。誰かが『私』の存在意義を認めてくれるのがこの世で一番好きで、先輩はその邪魔をしたんです。その上で、嘘を吐くんですか?」


 普段の軽口とは違う、確かな怒りを孕んだ言葉だった。


「邪魔をしたつもりは無いわ」

「あのタイミングで声を掛けてくるのはそういうことでしょう」

「邪推はやめてほしいわね。行かないって選択をしたのは貴女でしょ」


 思いとどまってほしいとは思ったが、最終決定を下したのは彼女だし、その選択も委ねた。興を削いだことについては詫びるが、『街角で知人と出会って声を掛けた』人間が詫びるべきか否かは判断が分かれるところだろう。


 とはいえ、行動はともかく、心中では邪魔をしたいと思っていた部分もある。彼女の指摘はあながち的外れではなく、畑野はため息をこぼす。言い返す余地が無くて酷く不愉快そうな表情を浮かべる篠宮に、ほんの少しだけ心中を明かした。


「……誰かれ構わず口説く不健全さを止めるべきとは、思った」


 そっと明かした畑野の本心を聞いた篠宮は、怪訝そうに眉を寄せる。それから、そんな言葉を鼻で笑うと、不快そうなまま、口元だけを緩めて畑野を揶揄する。


「一回ヤっただけで彼女面ですか? 自惚れるのも大概にしてくださいよ。先日の私が何を思っていたかは知りませんけど、素面の私が一番嫌いなのは先輩みたいな人間です」


 それに関しては畑野も同じだ。同じはずなのだが――何を血迷ったか、友人の退廃的な行動を、身勝手に、自分本位に、自己の価値観で正そうとした。今回ばかりは、自分に確かな非が在る。それを認めた畑野は、瞳を伏せながら詫びた。


「……少し、打ち解けた気でいた。悪い」


 そう告げると、篠宮の瞳が少しだけ揺れ、表情が険しく引き締まる。


 言い残した畑野は、これ以上の会話は無駄だろうと駅の側へ道を曲がり、足を速めようとした。しかし、直後にその腕を掴む者が居た。「ちょっと!」と焦るような、怒るような声色で自身の腕を柔らかい手で握る人物を確かめるように振り返り、不服そうな表情を浮かべている篠宮を見る。


「何?」

「『何?』じゃないですよ、そのまま帰る気ですか!? 馬鹿なんですか!?」


 血相を変えて不満を叫ぶ篠宮に、畑野は反感を抱く。


「ば、馬鹿とは何よ! アンタが迷惑がってるから帰ろうとしてるんでしょ!」

「お説教垂れてくるのが迷惑だって言ってるんですよ! 帰れとは言ってないもん!」

「説教垂れる以外にアンタに用件あるかバーカ!」


 鬱陶しくなって貶してやると、「ぐぬぬ」と怒りの感情に頬を染めた篠宮が畑野を睨む。駅までの道中、一度繁華街を逸れたからか周囲に人気は無い。叫んでも人目を浴びなかったのは幸いだった。


 篠宮は不満そうにしながら、何かに悩むような素振りを見せる。数秒ほど悩んだ彼女は、周囲に人目が無いことを確認する。何を言う気だと身構える畑野だったが、篠宮はそんな畑野の手を掴む。


「言ったじゃないですか。私、嫉妬されたり、誰かに認められたりするのが濡れるくらい大好きなんです。それなのに、先輩は邪魔してきたんですよ。分かります? こっちはお預け食らってるんです、邪魔した癖に平然と帰ろうとしないでくださいよ」


 彼女は赤く染めた頬で不満を訴える。


 話す最中、微かに指先が膣の口に触れた。彼女の口が言葉を紡ぐのに呼応するように、優しく膣口も震えた。熱く、畑野の指を食べようとしてくる。


 畑野は突然の奇行に戸惑いつつも、先日、互いに全裸を見て、記憶が無いながらも性交した間柄に躊躇いはあまり感じなかった。畑野とて、今日の午前には性欲を感じつつもそれを発散できずに居た。そして、彼女は嫌いだが、生理的な嫌悪感や不快感は多くない。身体だけの関係ならば、別に差し障りのない相手でもあった。


 篠宮は続けて文句を吐き出す。それは、晩秋の夜風に白く染まった。


「この際、先輩でもいいです。本当はあの人とできるはずだったのに、邪魔したんだから責任とって相手してください。……先輩は世界で一番嫌いですけど、一人で慰めるより百倍マシですから」


 『貴女との性交は自慰の百倍気持ちいいです』と言われれば少しは気分が良くなるものだが、そういう訳でもないようだ。彼女にとってはそれほどまでに一人での行為は無価値で、自分を認めてくれる他人との行為が価値あるものなのだろう。


 確かに、それを邪魔した責任は取るべきなのかもしれない。子宮が疼くような、彼女を求める性欲の部分が騒ぎ始めるが、畑野は理性を総動員して拒む。ここで頷いては、彼女に説いてきた自身の言葉の説得力が失せるだろう。


「そういうのを止めるために私は説教垂れてんのよ」


 キッパリと拒むも、篠宮は訝しそうに眉を寄せる。


「一回ヤったんだから変わりませんよ。それとも私は嫌ですか?」

「アンタは世界で一番嫌いな種類の人間だけど、顔は良いと思ってる」

「じゃあ、いいじゃないですか」

「クソッタレな女だけど、昼間に送ってきたメールとか……悪い奴じゃないとは思ってる。だから、普段の行動を改めさせたい。そのために頷かない」


 意固地にそう主張する畑野に、篠宮は唇を尖らせる。


「夜は断る癖に風俗も行かせない人みたいなこと言ってますね。もっと頭と股を緩くして生きましょうよ、ワンナイトくらいいいじゃないですか」

「駄目」

「どうしても?」

「責任を取れと言うなら、風俗代くらいは出してやる」


 畑野はそう言いながら懐から財布を取り出し、彼女に万札を数枚握らせるつもりでいた。手痛い出費だが、自分の主張を捻じ曲げるくらいならこれくらいはしよう。頑固な畑野は覚悟を決めて財布から金を出そうとするが、「ああ、もう、分かりましたよ」と根負けした様子で篠宮がそれを阻んだ。


 それから、半眼で畑野を睨みながら不満そうに代案を告げた。


「諦めて自分で慰めるので、家だけ貸してください。すぐ発散したいのに自宅は遠いし、トイレとかじゃ無理ですし。私、裸じゃないとできないので」


 大学の後輩に自慰するために部屋を貸し与えるなど馬鹿げた話だったが、性欲というものが馬鹿にできるものではなく、彼女の努力の末に獲得した行為相手を奪った負い目もある。責任は取るべきで、自分の主張を曲げる訳でもない。


 畑野は渋々ながらも、それに頷く以外の選択は無かった。

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