第4話義忠の旧友(小児島 早未介 門南)

 早未(はやみ)という地域は不止家の領地になる以前、古来から製鉄業が盛んであった。そのため金子八神という製鉄に関する8人の神を信仰する土着信仰が盛んであった。


             不止家(ふし)領   早未(はやみ)


 「3年音沙汰なく3年ぶりに訪ねてきたかと思えばお家騒動に協力しろだー?おまえ、オレをなめてんのか?」


私、新田寺起位守義忠(にったじのきいのかみよしただ)は会いたい人物がいます、と言って一郎さまに3日間の暇を頂いて計画に参加させたい人物に会いに来たが上のような暴言を吐かれました。なぜなのかは分かっているつもりです。


「おめぇとオレは家立の学校で仲良しコンビを組んでいたがある日おめぇが学校の近くの集落の家に美人の妻が嫁いできたから盗みだそうとか言ってきたから協力したらオレは側溝に足をすべらせてしまった。そこまではいいがお前は、新婦泥棒はここだ~、って言って逃げやがった。おかげでオレは退学こそ免れたが廃嫡されてこんな辺境地域の長官にさせられてしまった!お前なんぞどこぞで野垂死んどきゃいいんだよ!」


というわけです。私は間抜けな割にはしたたかって言われているのですが私にそんな自覚は全くありません。


「その件はもう謝って門南はいいよ、って言ってくれたじゃん。協力してくれよ~。」


私は製鉄業が盛んで良質の武器を得られる早未を治める旧友の小児島早未介門南(こじまはやみのすけとなみ)を何としても味方につけたいのである。門南は痛いところを突かれたという感じの顔をして


「ありゃ、おめぇがしつけーから生返事しただけだ。許したわけじゃねーよ。」


といったがわたしは突くのをやめない。


「でもいいよって言ってくれたのは事実じゃん、ただ働きってわけじゃないから減るもんじゃないんだから協力してくれよ。」


門南は面倒くさくなったようでおい、と家人を呼んで私を門外へ叩き出した。


「ちぇ、何だよ。オレには守らなきゃいけないものがある、とかかっこつけてさ。・・また来るぞー。」


私はそう門の前で叫んで宿に戻った。


「絶対に小児島早未介門南を味方につけてみせる・・。」


そう決意して飲んだ酒は鉄を精製するときに発生する熱をいかしてつくるその土地特有のものだった。

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