第42講 翻訳で失われる情報というものもある

第42講 翻訳で失われる情報というものもある


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甲:外国人の日本語学習者の一つの強い動機として、日本語のアニメを字幕なしで見たいという動機が挙げられるらしい。


kou : gaikokujin no nihongo gakushuusha/gakusyuusya no hitotsu no tsuyoi douki to shite, nihongo no anime wo jimaku nashide mitai toiu douki ga agerareru rashii.



乙:翻訳で失われる情報というものもあるからね。例えば、日本語からの翻訳が難しい表現の代表として、「いただきます」、「木漏れ日」、「積読つんどく」、「勿体無い」、「侘び寂び」等が挙げられるね。


otsu : honyaku de ushinawareru jyouhou toiu mono mo aru karane. tatoeba, nihongo karano honyaku ga mudsukashii/muzukasii hyougen toshite, "itadakimasu", "komorebi", "tsundoku", "mottainai", "wabisabi" nado ga agerarerune.



甲:海外向けに翻訳することで、多少の情報欠損が生じる点は、ある程度仕方が無い側面もあるけど、完全に別物としかいえない表現に差し替えるのは如何なものか、と思うがね。


kou : kaigai mukeni honyaku suru kotode, tashou/tasyou no jyouhou-kesson ga shoujiru/syoujiru ten wa, aruteido, shikata ga nai sokumen mo arukedo, kanzen ni betsumono to shika ienai hyougen ni sashikaeru nowa ikaga na monoka, to omougane.



乙:改変が酷過ぎる場合は、もう二次創作と呼んだ方がいいものも見受けられるし、原作に対する敬意が欠けているとしか思えないね。


otsu : kaihen ga hidosugiru baai wa, mou nijisousaku to yonda houga ii mono mo miukerarerushi, gensaku ni taisuru keii ga kaketeiru to shika omoenaine.


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【解説】

 イスラム教の聖典である、「コーラン」も原典はアラビア語で書かれており、翻訳自体は禁じられていませんが、翻訳された内容は、原典の解釈に過ぎない、とされています。

 それと同様に、日本語にしかない表現を海外向けに翻訳する場合、情報欠損の問題が生じるのは必然であり、その中には、二次創作としかいえないほどに改変され、残念ながら、原作への敬意が欠けているとしか思えないような内容の作品も存在します。

 例えば、アニメ主題歌のドイツ語版は、再度和訳すると、原曲に近い訳詞であることが多く、「空気の読める国ドイツ」等のタグが付いていたりして、好感が持てる一方、英訳版は、英語が人口に膾炙している側面もあるからか、原曲との乖離が目立ち、二次創作としかいえないほどに改変されていることが多い印象です。

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