第5話
四月になり、弟は中学三年生となっている。その弟を連れて、私は花子さんとの同棲を開始した。同棲は
「ようこそ、君が弟さんね。これから仲良くして行きましょう」
花子さんが住んでいるマンションは、事前に知らされていた通り、部屋が広かった。その部屋に住む事になった私と弟が、彼女に
「本当に広い部屋ですねー。花子さんの
弟は照れているのか何なのか、ろくに口を開かない。取りなすように、私がそう言った。
「私が広島に、東京から越してきたって言ったでしょ? 私は長女なんだけど、以前から次女が広島で働いていたのよ。それで私が、次女に連絡して、『家賃を
弟への説明も
「姉妹で仲が良いって素敵ですね。それで一緒に、広島に居るんですから。
「その分、両親とは上手く行かなくなっちゃったけどね。
花子さんは長く東京で暮らしていた。その東京で、花子さんは最後まで御両親との関係を
「私も弟も、そして花子さんにも
きっと同性婚は、まだ日本では当分、
私の両親が生きていてくれたら良かったと思う。私を拒絶したとしても、それでも私は、ただ両親に生きていてもらいたかった。その
それでも私には弟が居た。両親が亡くなった後も生き続けようと思える理由、
両親が弟を
「愛してます、花子さん。
つい広島弁が出てしまった。花子さんの妹も広島弁だし別にいいか。弟は相変わらず
「……若いって
そう花子さんが言う。私達は明日、小さいながらも結婚式を
「付き合い始めの頃、ファミレスでのデートで、私の頭を
私が顔を真っ赤にして、花子さんに頭を撫でられた、あの二〇二〇年末のデートから
好きな
「来年の
そう花子さんが言う。私に難しい事は分からないが、来年、G7という先進国首脳会議が日本で行われるそうだ。今年は広島への原爆投下から七十七年目で、新しい時代に向けての
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