第4話
花子さんに泣かれて、一緒に私も泣いて。花子さんと私は、恋人同士となった。
私に取っては初めての恋愛である。そして私は、もう婚活はできないと
お付き合いは
「
「私が越してきたのは最近だから、何とも言えないけど。東京よりは、そうかもね」
ある日のデートで、そんな会話となった。自分でも分かっているのだが、私は花子さんに
「
要は同性愛者に向けた、定期的なイベントなどが無いのだ。それが私には不満だった。
百合マンガもアニメイトくらいでしか買えないのではないか。これからもアニメイトには
「分かってるわよ。弟さんの事が心配なんでしょう?」
「心配しすぎよぉ。弟さんだって、いつかは
「でもぉ……」
まだ私は
「そんなに弟さんと、離れたくない?」
自分の顔が
「もう、やだぁ……花子さんの
「よしよし。大丈夫よ、大丈夫」
花子さんが私の頭を
「世の中はね。悪い方に変わる事もあるけど、でも少しずつ良い方にだって変わるの。私は、そう信じてるわ。だから大丈夫、大丈夫」
本当だろうか。私と弟は幸せになれるのだろうか。そんな事を考えた、二〇二〇年のデートであった。
二〇二二年、同性愛者に不寛容な国がウクライナに侵攻した。ウクライナという国にはLGBT、つまり同性愛者などの人が多いそうだ。周辺国が、性的
そのウクライナも、決して同性愛者の楽園という訳ではない。あるいは楽園など、何処にも存在しないのかも知れない。その侵攻があった年、私は二十二才になっていた。
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