第2話
そんな外国からの観光客も、コロナ騒動で見かけなくなって。嫌な感覚が私にはあった。世の中が暗くなっていくような、十一年ごとに私に訪れる、あの感覚。両親が亡くなった時の、十一才だった当時の絶望感は生涯、私の中から
親戚から離れて、高校を卒業して私は就職した。大学に行かなかった事も、弟との二人暮らしを選んだ事も後悔は無い。そもそも弟と居る事は、
私が弟を守っているように、周囲からは見えたらしくて、そう弟も信じているようだ。実際は違う。
二〇二〇年、私は二十才になって、弟も中学に入学した。私としては弟の将来を考える必要がある。姉の
私だって、いつまで弟の面倒を見られるか分からない。人がある日、突然に亡くなる事を私は実体験で知っていた。私が世を去った時に、弟を経済的に支えてくれる人間が必要となる。
真っ先に思い浮かんだ方法があった。結婚である。かつて私が夢見た、お姉さん達で
「
私達が暮らしているアパートで、ある日、そう私は弟を尋問した。
「姉ちゃんの結婚に付いて、何で俺が、俺の『男の好み』を教える必要があるの。意味が分からんよ、姉ちゃん」
弟が私の尋問に文句を言う。広島の男子は、自分の事を「わし」というのが一般的らしいのだけど、弟は「
「決まっ
こんな当たり前の理屈が分からない辺り、まだまだ弟は
「
現実を分かっていない
「
言いながら、そういえば弟の
「……それでは、姉ちゃんが不幸せじゃろう。ハーレムの夢は
ビックリした。まさか弟が、私の十四才当時の中二病な夢を覚えているとは。
「あはは!
日本では法的に、異性との結婚しか認められていない。私に言わせれば、それは同性愛者に取っての地獄である。異性愛者が生涯、同性と
「
弟が大学に行ければ、それで私の役割は終わりでいい。いっそ暴力的な夫に殺されれば
「……まあ、やって
何だか分かったような事を弟が言う。それはそれで、私に魅力が無いようでムカついた。弟の評価を
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