じゃけぇ
転生新語
第1話
広島に原爆が落ちた。それが七十七年前で、以来、私の感覚では十一年ごとに大きなイベントが起きている気がする。と、偉そうな事をコメントしたけれど、過去の歴史に私は詳しくない。
私が生まれたのが西暦二〇〇〇年で、つまり原爆が落ちた年の五十五年後。そして私が十一才の時、両親が事故で亡くなった。そんな事もあって、十一年ごとというのは私の中で、一つのリズムとして感じられている。
私が生まれたのは東京で、下には七つ年下の弟が居る。姉と弟の、二人
両親の遺産というものも少しはあったはずだが、親戚のクソ
ところで私は、いわゆる同性愛者だ。生まれてこの方、男性を好きになった事が無い。
長らく周囲には、その事を話さなかった。両親にも親戚にも、気づかれなかったと思う。
知っていたのは弟だけだ。秘密を
「じゃけぇ(だから)、
当時の弟は小学校の一年生だったと思う。話を理解できる訳も無くて、だから私には、ありがたかった。私は理解されたかったのではなく、話を聞いてほしかったのだ。ただ、それだけだった。
あとは、弟へのポエム語りは、広島弁の練習も
「アニメで見たんよ。ハーレムという
「うん」
弟が、ただ頷く。話を理解した訳ではなくて、ただ弟は、私を否定したくなかったのだろう。
「いつか、必ず、そういう場所を作る。
こう言うからには、私が泣く訳には行かない。私は弟の前でだけは、決して泣かないように育っていった。
ところで私は同性愛者だ。だからマンガも、いわゆる百合が好きだった。
広島は人口が百万人を
時期的には二〇一二年の十一月に、コミック百合姫の二〇一三年一月号が発売されて、マンガ『
隔月誌であるコミック百合姫は、家の中で隠し場所を確保していて、弟にも協力させて親戚の目を
二〇一三年の三月、広島にアニメイトビルが
アニメイトビルで雑誌を買った帰り道は、近くの平和公園に立ち寄って、ベンチに座って読んだものである。晴れた日には原爆ドームの
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